作者は、生まれ育った場所を離れることが多くなって、しばらくが経った。故郷と呼ぶほど遠いものではないが、昔ほどこの地に身を置くこともなくなって慣れ親しんだ景色は少し遠いものとなっている。暮らしていた頃は気にも留めなかったが、意識してみると場所は思いのほか変わっていて、記憶とは違う景色が混在する眺めは、いつしか自分の中に小さなわだかまりをつくっていた。いつまでもそこにあると思っていたものは、気付けば記憶の中だけのものになっていて、いずれは記憶の片隅からも消え去るのかもしれない。日々曖昧になっていくものを失わないように、作者はその姿を今ここに留めておきたいと思った。モノクロ40点。 ギャラリートーク: 4月28日(土)、13:00〜14:00