パットナムによれば、社会関係資本の衰退に対抗するためのヒントは、アメリカの過去の歴史の中に見出されるという。「金ぴか時代」(1870〜1900年)と「革新主義時代」(1900〜1915年)に起こった出来事が、それにあたる。この今からほぼ1世紀前の時代に、社会関係資本の衰退という現代のアメリカが抱えているのとよく似た問題を見つけることができるのである。 金ぴか時代は急速な社会変化の時代であった。具体的には人口増加と都市化、産業の発展、交通・コミュニケーション革命によって、社会は「偏った」形で発展し、その副産物として道徳の低下とコミュニティの喪失、対面的接触の減少がもたらされた。このような事態に対して、コミュニティの再建によって問題を解決しようとしたのが革新主義時代である。実際、革新主義時代は米国コミュニティ史において、多くの組織が誕生するきっかけとなった時代であり、その時に蒔かれた種が数十年