長野県の浅間山から八ケ岳一帯の山麓(さんろく)では、初夏から高原野菜の出荷が本格化する。2020年の春、新型コロナウイルスの影響で頼みの綱の外国人技能実習生が入国できず、農家の多くは人手不足に直面していた。その時、聞いたこともない会社が近づいてきて豪語した。「500人くらい連れてきます」。「ホアンアン合同会社」と名乗る大阪の会社は、短期間に大勢のベトナム人を農地に送り出した。しかしこの一件は後に、刑事事件に発展する。外国人労働を巡るブローカーの内情とは。【林田七恵、井川加菜美、皆川真仁、野呂賢治】 技能実習から逃れて農家へ 「求人。時給950円。レタス、キャベツを栽培し収穫する仕事」 ベトナム南部出身の男性(23)は20年7月、フェイスブック(FB)で知り合った人物からメッセージを受け取った。3日後には東京から新幹線に乗り、長野へ向かった。 男性はその年の2月、鉄筋施工の技能実習生として来
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