昨今、多様性という言葉がよく聞かれるようになった。他者の価値観への寛容性とも言い換えることができるが僕はこの言葉をポジティブに捉えることができないでいる。どころか冷徹で残酷で無機質な、いや機械的ともいっていい常套句、逃げ口上だと思っている。 「君の描いた抽象画もステキだね、でもあっちのアニメもかわいいよね。うん、どっちもそれぞれいいよね」 などというスタンスには多様性という言葉を借りたどうでもよさや一定の壁に似た距離感がある 天気のような意味のない内容の会話を除いて日常会話から国会の議論まで人が言葉を真剣に重量や熱量を持って発している時の目的というのは自分が他人に影響を与えたいから発しているものだ 逆に聞く立場であれば自分が他人から影響を受けたい、相手を知ってその領域に触れたいと思うからこそ初めて人の話が聞けるようになるのだ よく思い出してみればいい 中学校の終業式に校長先生が意味のない挨