ブックマーク / realsound.jp (11)

  • 後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」

    暗黒批評家・後藤護が著した書籍『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社)は、耳慣れない「アフロ・マニエリスム」なる概念を軸に、これまでにない切り口で黒人音楽史を捉え直した一冊だ。アフロ・マニエリスムとは、ドイツのジャーナリストで文筆家のグスタフ・ルネ・ホッケが1950年代に再評価した後期イタリア・ルネサンスの美術様式「マニエリスム」の理論を換骨奪胎し、ブラック・カルチャーに応用したもの。後藤護は、このアフロ・マニエリスムによって、奴隷制時代から南北戦争、公民権運動をへて真の解放をめざす現代までを総括しようと試みた。 ジャズ・ミュージシャンにして文筆家の菊地成孔は、書『黒人音楽史』をどのように読んだのか。リアルサウンド ブックでは、ふたりの初対談をお届けする。(編集部) 後藤護 菊地:いわゆる黒人音楽史についてのは20世紀にたくさん出ています。特にジャズ批評の多くは、歴史主義で書かれてい

    後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」
  • 千葉雅也が選ぶ「宮台真司の3冊」 強く生きる弱者ーー宮台社会学について

    社会学者・宮台真司がリアルサウンド映画部にて連載中の『宮台真司の月刊映画時評』などに掲載した映画評に大幅な加筆・再構成を行い、書籍化した映画批評集『崩壊を加速させよ 「社会」が沈んで「世界」が浮上する』が、リアルサウンド運営元のblueprintより刊行中だ。同書では、『寝ても覚めても』、『万引き家族』、『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』、Netflixオリジナルシリーズ『呪怨・呪いの家』など、2011年から2020年に公開・配信された作品を中心に取り上げながら、コロナ禍における「社会の自明性の崩壊」を見通す評論集となっている。 今回、リアルサウンドでは同書の刊行を記念し、識者・著名人が宮台の批評との出会いを語るシリーズを企画。自身に大きな影響を与えた3冊を挙げてもらった。第2回は、哲学者・小説家の千葉雅也による、「弱者の強者性」を説く宮台社会学から学んだことについて

    千葉雅也が選ぶ「宮台真司の3冊」 強く生きる弱者ーー宮台社会学について
  • ゴッドスコーピオンが語る、『デススト』化した世界で変わりゆく「都市や空間に“XRの魔術”をかける」意味

    ゴッドスコーピオンが語る、『デススト』化した世界で変わりゆく「都市や空間に“XRの魔術”をかける」意味 特集「コロナ以降のカルチャー テクノロジーはエンタメを救えるか」の第9弾は、VR/MRの領域を中心に、アート、ビジネスの両面で次々と革新的なアイデアを形にしているメディアアーティスト・ゴッドスコーピオンが登場。 かねてよりVR/MR領域を「現代魔術」と標榜してきた彼が、リアルでの接触が経たれ、いまなおソーシャルディスタンスを保つことが求められているこのコロナ禍において思うこととは。(編集部) 特集ページ:「コロナ以降のカルチャー テクノロジーはエンタメを救えるか」 「AR/MR技術の“タイムマシン”的な機微が、今後の場所的なコアになっていく」 ーー前回のインタビュー(VRは現代の魔術だーーゴッドスコーピオンが見通す、人間の能力が拡張した近未来)から2年経ちました。まずこの2年の活動につい

    ゴッドスコーピオンが語る、『デススト』化した世界で変わりゆく「都市や空間に“XRの魔術”をかける」意味
  • 2019年、韓国のビッグドレンド“Newtro” 流行に至った経緯とK-POPに与える影響

    韓国で流行中の新概念「Newtro」 「Newtro(ニュートロ)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。 Newtroとは、「現在あるいは未来(New)」と「過去(Retro)」を融合させた「新しい過去」を意味する韓国の新造語である。2018年の半ば頃から使われ始めたこの言葉は、今や韓国国内での一大マーケティングトレンドにまで発展している。 例えば、日でも名の知れた韓国焼酎「眞露(ジンロ)」。若者向けに商品リニューアルを行うに当たり、懐かしのボトルをNewtro的視点で再解釈したパッケージデザインが採用された。 また、これまで「古臭い」「高齢者向け」というイメージがあったソウル・江北地区も、現在では「Newtroの聖地」としてトレンドに敏感な若者たちが通う街へと変容しつつある。 このブームを牽引しているのは、ミレニアル世代以降の10〜30代である。呼吸をするようにインターネットを使いこ

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  • 柳樂光隆が選ぶ、ジャズミュージシャンが奏でる“まだ名前の付いていない音楽”5選

    現代ジャズの状況を解説するジャズ・ガイド・ブック『Jazz The New Chapter 5』というを出しました。その制作が終わったばかりで、発売されたばかりだけど、USのジャズシーンは相変わらず目まぐるしく動いていて、ロバート・グラスパーやカマシ・ワシントン、サンダーキャット、テラス・マーティンらよりもはるかに年下のミュージシャン達が、彼らが切り開いてきたサウンドを前提にしながら、新しいジャズを模索しています。その結果、素晴らしい新作がリリースされまくり。 柳樂 光隆(監修)『Jazz The New Chapter 5』 ここではの製作直後に出たものや、直後にライブを観てビビったア―ティストを紹介します。カマシ・ワシントンやR+R=NOWに負けず劣らずのジャンルを超えたサウンドばかり。これらもまた「ジャズミュージシャンが奏でるまだ名前の付いてない音楽」であり、2018年以降の音楽

    柳樂光隆が選ぶ、ジャズミュージシャンが奏でる“まだ名前の付いていない音楽”5選
  • OPN『Age Of』は“ワイドスクリーン・バロック”的? 『構造素子』の樋口恭介氏が読み解く

    映画『グッド・タイム』のサントラで、第70回カンヌ国際映画祭のカンヌ・サウンドトラック賞に輝いたことも記憶に新しいOneohtrix Point Neverことダニエル・ロパティンが、最新アルバムとなる作『Age Of』を完成させた。作を語る上で、まず触れなくてはならないのが、先日ニューヨークで三日間に渡って披露された『MYRIAD』と名付けられた最新コンサートだ。ロパティン曰く、「スーパーインテリジェンス(超絶知能)が考える僕らのストーリー」が描かれたそれは、言語が生まれる前の時代「ECCO」、人類が会話や道具を活かすようになる「HARVEST」、世界が大きく発展を遂げる「EXCESS」、そして大きくなりすぎて人類が行き詰まる「BONDAGE」という4つの時代で構成されている。このような作品になったのは、アノーニとツアー中に環境問題で議論をしたのがキッカケだったという。「一万年後には

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  • 韓国インディロックに新展開? Silica GEL、Say Sue Meら変わりゆくシーン牽引するバンド4組

    韓国インディロックに新展開? Silica GEL、Say Sue Meら変わりゆくシーン牽引するバンド4組 「韓国音楽」といえば、グローバルに躍進を続けるK-POPアイドルグループを真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。その一方で、新曲「Citizen Kane」も話題のHYUKOHや、女性シンガーソングライターのイ・ランの活躍を通して、日でも、K-POP以外の音楽が浸透しはじめている。 とはいえ、日で注目を集めやすかったのは、チャン・ギハと顔たちやSultan of the Disco、そして前述のHYUKOHなど、ファンクやディスコ、R&Bのフィーリングを消化したものーーつまり、いわゆる「ブラックミュージック」の影響が色濃いものだったように思う。

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  • 小袋成彬が明かす、“シンガーソングライター”としての目覚め「洋楽を焼き増していくのが無理だってわかった」

    小袋成彬が明かす、“シンガーソングライター”としての目覚め「洋楽を焼き増していくのが無理だってわかった」 小袋成彬が彼自身の名義での初のアルバム『分離派の夏』を出した。僕は小袋くんとは彼が中心メンバーでもあるレーベル〈Tokyo Recordings〉への取材がきっかけで仲良くなった。繋いでくれたのは元WIRED編集長の若林恵さんとWIRED編集部の矢代くんだ。それ以来、何度か会っているが、彼のことは前から、不思議な人だなと思っていた。明らかにアーティスト側の人間なのに、アーティストっぽい自意識が全く見えなくて、なんというか“不気味”だった。宇多田ヒカルとのコラボレーションが収録された『Fantôme』が出た頃、たまたま仕事で対談をしたが、その時も不思議な人という印象は変わらなかった。 『分離派の夏』を聴いてみたときに、その素晴らしさと同時に、なにか違和感のようなものを感じた。サウンド的に

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  • 菊地成孔が語る、映画批評の倫理「1番やっちゃいけないのは、フェティッシュを持ち込むこと」

    菊地成孔の欧米休憩タイム』(blueprint) 菊地成孔の新刊『菊地成孔の欧米休憩タイム』が、現在発売中だ。 Amazonで発売中 英語圏(欧米国)以外、特にアジア圏の映画を対象としたリアルサウンド映画部の連載レビュー「菊地成孔の欧米休憩タイム〜アルファヴェットを使わない国々の映画批評〜」の中から記事を厳選し、新たに加筆・修正の上で収録した同書。同連載の番外編として掲載され、Yahoo!ニュースなどのネットメディアやSNSで大きな議論を巻き起こした『ラ・ラ・ランド』評のほか、有料ブログマガジンの連載批評「TSUTAYAをやっつけろ」や、長らく書籍化されなかった伝説の連載コラム「都市の同一性障害」などを収録している。 リアルサウンド映画部では今回、発売後の反響を受けて、改めて菊地成孔人にインタビュー。映画批評をはじめたきっかけから、その方法論について、さらには韓国映画の現在についてまで

    菊地成孔が語る、映画批評の倫理「1番やっちゃいけないのは、フェティッシュを持ち込むこと」
  • ジャズギターは変革期に入ったーー柳樂光隆が選ぶ、注目のギタリスト新作5選

    ジャズシーンが面白い変革期に入っていることはこの連載の過去の記事でも触れてきた。ロバート・グラスパーを挙げるまでもなく、ミュージシャンたちがジャズという枠にとらわれずに自然体で様々なジャンルの要素をジャズに溶け込ませながら、新たな音楽を生み出している。その中でも今、ジャズギタリストたちが面白くなってきている。例えば、この連載でもジェフ・パーカー、カート・ローゼンウィンケルといったギタリストたちの作品を取り上げてきたし、デヴィッド・ボウイ『★』ではベン・モンダーが、サム・アミドンの作品にビル・フリゼールが参加したりもした。「ジャズギター=めちゃくちゃギターが上手いやつらのギターソロ満載の即興演奏を繰り広げる」というイメージがあるかもしれないが、近年はギターならではのサウンドを効果的に取り込んだ作品を作るギタリストも増えてきた。そして、その中には言うまでもなく、インディーロックだったり、エレク

    ジャズギターは変革期に入ったーー柳樂光隆が選ぶ、注目のギタリスト新作5選
  • 細野晴臣が語る“音楽の鉱脈”の探し方「大きな文化の固まりが地下に埋もれている」

    はっぴいえんど、YMOなどで活躍した日を代表するミュージシャンであり、今もなお第一線で作品を発表し続ける細野晴臣。彼がLA、ハワイからロンドン、パリ、東京まで、世界各地の土地柄と音楽について語り尽くした書籍『HOSONO百景』(河出書房新社)が評判を呼んでいる。雑誌『TRANSIT』人気連載を元にした同書は、氏の旅行記の体裁を取りつつ、随所で音楽に関する深い考察が披露されており、音楽ファンにとっても必読の一冊といえる。今回、リアルサウンドでは同書の刊行を期にインタビューが実現。聞き手に音楽評論家の小野島大氏を迎え、現在の音楽観や、ルーツに対する考え方を中心にじっくりと話を聞いた。(編集部) 「知れば知るほど、自由が効かなくなるっていうのはある」 ――非常に楽しく拝読させていただきました。興味深い記述はいくつもあったんですが、まずニュー・オリンズの音楽の話のところで(「ニュー・オリンズの”

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