英エコノミスト誌は1995年、タイが2020年までに世界第8位の経済大国になると予想した。 今ではやや楽観的――と言うべきだろう――に見えるその予想が出されたのは、タイが10年間にわたって年率8.4%という猛烈な勢いで拡大し続け、中国さえをも凌いで、世界で最も急成長を遂げる経済だった時のことだ。古き良き時代だった。 アジア金融危機後の10年間――バーツの切り下げに始まり、タクシン・チナワット元首相を失脚させた2006年のクーデターで終わった――は、それほど生易しいものではなかった。 活力を取り戻せないタイ経済 不用意にも18カ月間でGDP(国内総生産)の15%を失った1997年の通貨切り下げからは立ち直ったものの、タイ経済が以前の活力を取り戻すことは二度となかった。タイの経済成長率は、まずまずの水準ではあるが社会を変革させるには足りない年4~5%程度をうろうろしていた。 今年は5