80代のかやさんは社交的で歌が好きで、他者と上手に関わる方だった。 皮膚感染症にかかり暫く居室で過ごす日が続いてから、うつの症状が出始めた。家族に説明し、本人と面会する機会を作ったり、本人と電話で話したりしてもらい、症状を共有した。 主治医は内科医なので、専門医宛てに紹介状が出た。本人、家族と職員で初診を受けた。 一週間分の薬が出て、様子を見て今後入院加療も視野に入れるとの見解だったのだが、昼夜を問わず奇声を上げ、幻視、幻覚、タオルで自分の首を絞める、頭を壁に打ち付ける等目も手も離せない状態になり、他入居者にも不眠、不穏等の影響が出た。再診の日を待たず病院へ電話して内服中止の指示を受けた。 再診の日、午前、診察室で本人を見るなり医師は入院加療するべき状態だと言った。そして入院手続きの為には娘様とどうしても連絡を取る必要がある事を丁寧に説明してくれた。「娘さん」という言葉にかやさんは敏感に反