オリンピックやワールドカップといった世界大会の開催都市が悩まされるのが、大金をつぎ込んで用意した会場のその後の使い道だ。夏季五輪も冬季五輪も開催した北京の会場は、いまどうなっているのか? ある会場のその後を米経済メディア「ブルームバーグ」が取材した。 北京の紫禁城からおよそ20キロ西に、都市再生ではまれな成功例が存在する。 永定河沿いに8平方キロメートル以上にわたって広がる首鋼(ショウガン)工業遺址公園は、巨大な製鉄所の敷地にある。この製鉄所は、近くの龍煙鉱山から採掘された鉄鉱石を精錬するために1919年に開所した。 かつては中国で最も進んだ製鉄所であり、スモッグの主因のひとつでもあった首鋼コンビナートは、北京市が2008年夏季五輪の開催権を獲得してから、中国政府によって移転させられた。北京市の空気をきれいにしようという努力の一環としてだ。 その後、2015年に、北京市が2022年冬季五輪