都の大がかりな工事を「狂心(たぶれごころ)」とそしられるなど、天皇らしからぬエピソードをもつ飛鳥時代の女帝・斉明(さいめい)天皇(594〜661年)。土木工事好きは、「人間ブルドーザー」といわれた故・田中角栄元首相にも重なってみえる。その女帝の墓とほぼ確定したのが、奈良県明日香村の牽牛子塚(けんごしづか)古墳。さらにすぐ前から石室が発見され、20代で早世した孫娘・大田皇女(おおたのひめみこ)の墓として話題を集めた。豪腕の女帝と悲運のプリンセス−。寄り添うように葬られた姿は、はからずも2人の運命をあぶり出した。(地方部 小畑三秋、奈良支局 川西健士郎)知名度急上昇 飛鳥時代の女帝といえば、聖徳太子とともに政治を担った推古天皇や、藤原京を開いた持統天皇が有名。それに比べて斉明天皇は、天智、天武両天皇の母という以外、知名度は今ひとつだった。 歴史教科書でもそれほどなじみのない女帝がいま、一躍スポ