パリの周囲を囲む鉄道プティト・サンチュールの廃線跡 『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、かつてパリにあった鉄道路線「プティト・サンチュール」について語る。 * * * パリにはかつて、街の周囲を取り囲む鉄道がありました。周囲をベルトのように環状運転していることから、ラ・プティト・サンチュール・ド・パリ(パリの小さなベルト)と呼ばれる、全長32㎞の鉄道路線。先日、90年ほど前に役目を果たしたこの鉄道の廃線巡りをしてきました。 プティト・サンチュールはフランスの第2帝政時代に当たる1852年、ナポレオン3世の指示により建設・開業しました。当時のパリは「ティエールの城壁」と呼ばれる壁で要塞化しており、この鉄道は兵士の食料や兵器などの物資を輸送する貨物線として開業しましたが、やがて旅客線としても使用されました
