地質学者のロン・サーダムさん(69)は、かつて石炭資源を求めて米ワイオミング州を駆け回った。しかし今では、石炭火力発電所から排出された二酸化炭素(CO2)を永久に埋めるための地下洞窟(どうくつ)を探している。 CO2回収・貯蔵技術(CCS)は、地球温暖化を引き起こす温室効果ガス抑制のカギとみられている。米国の石炭生産量の39%を支えるワイオミング州は、年間収入の約20%をこの資源に依存。限られた研究費が、世界的金融危機によってさらに削られるのではと、サーダムさんは頭を悩ませている。 ワイオミング州地質学調査所長であるサーダムさんは、議会の期待に応えようと、温室効果ガス排出削減手法の確立に躍起になっている。エネルギー省の報告によれば、国の電力の半分を供給する石炭火力発電所は、CO2排出の最大の固定発生源。2006年には19億メトリックトンを排出した。 ◆石炭産業を守れ 04年に温室効