趣旨: 力学において変分原理は重要な位置を占める。これは流体力学を含む連続体力学においても同様である。変分原理が力学において最初に登場したのは1760 年のLagrangeの論文である。その後Lagrange 自身により流体力学への適用が試みられた。変分原理の懐の深さは、第一原理としての物理法則(支配方程式) や保存則を生み出すことにとどまらず、幾何学的構造の解明、安定性の研究、運動学への応用などにおいて多大な成果を生み出し続けた。 流体力学においては、今世紀に入ってもArnold による流体粒子運動の微分幾何学による定式化(1966 年)を一つの契機として研究が活発化した。1980 年代以降、それに続く非線形安定性の理論、Hamilton 系、特にLie-Poisson 系としてのオイラー方程式の理論の成熟を見た後、変分原理に源を有する研究は21 世紀に入っても進化を遂げ、応用範囲を広げ