往々にして培ってきたキャリアを捨てるのは難しい。役員レベルまで上り詰めるとなおさらだ。比較的、人材流通の活発なIT業界でも、「立場」を捨てるのには勇気がいる。 今回、取り上げる井上琢磨氏はインターネット広告代理店サイバーエージェントに創業期から属し、その後はトラフィックゲート役員を務めた。そして、今は有名なラーメンをEC(電子商取引)で販売する「宅麺」を手掛けるグルメイノベーションの創業者兼社長だ。意外な転身の背景にあったものは何だったのだろうか。 宅麺はどういうサービス? 店舗で提供しているラーメンをそのままの品質でお取り寄せできるサービスです。インターネットで販売します。よく勘違いされるのですが、似たような味を再現して工場で生産するわけではありません。店舗で作っているスープや具材、ゆでる前の麺をそのまま冷凍パッケージするため、お店の味そのままを自宅にいながら楽しめます。我々が足を使って