最近「原作者がうるさくて……」という同業者のぼやきをよく耳にする。 ぼくがアニメシナリオを書き出したころ、“うるさい原作者”は存在しなかった。最初の打ち合わせにも顔を見せず、「すべてお任せ」という人もいたくらいだ。 ぼくが最初に会った原作者は、手塚治虫さんである。『ジャングル大帝』を書いているとき、虫プロの文芸部の部屋に予告もなく現れた。ちょうど原稿を書いていた、ぼくは緊張して身構えた。それまでに完成したシナリオは、原作と微妙にニュアンスが違っていて、ぼくも気になっていた。手塚さんは、そのことをいいに来たのではないかと思ったのだ。 「遅くまでご苦労さま」 トレードマークのベレー帽をかぶった手塚さんは、にこやかにそういって部屋を出て行った。ほんとうは、なにかいいたかったのではないかと、いまでも気になっている。 『ハリスの旋風』『あしたのジョー』のちばてつやさん。『ひみつのアッコちゃん』『もー