<チンパンジーでもヒヒでも羊でもなく、どうしてブタなのか? ヒトに対する異種臓器移植の歴史を辿り、実用化することの利益とリスクについて考える> アメリカのメリーランド大学医学部の研究チームは1月10日、ブタの心臓を人間に移植することに世界で初めて成功したと発表しました。使用したブタの心臓は10カ所の遺伝子を改変して、拒絶反応が起こりにくいようにしました。動物の臓器を人間に移植する「異種臓器移植」は、慢性的な臓器ドナー不足の解消に繋がると期待されています。 移植を受けたのは、重度の心不全と不整脈で2001年から体外式膜型人工肺(ECMO)を使っていたメリーランド州のデビッド・ベネットさん(57)です。症状が重いため、通常の心臓移植や人工心臓ポンプの対象にならず、ブタの心臓を移植する以外の治療法では回復が見込めない状態でした。そこで、FDA(アメリカ食品医薬品局)は2021年12月31日、人道