ドナルド・トランプ前米大統領が、大統領選の共和党指名争いで独走している。トランプ氏がホワイトハウスに凱旋(がいせん)した場合、ジョー・バイデン政権で復帰した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱する可能性が高い。昨年末のCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)では、世界の温室効果ガス排出量を2035年に60%削減(19年比)という数字が打ち出されたが、このままでは日本経済や国民生活に甚大な打撃を与えかねないという。一方、中国などのグローバルサウスはパリ協定を意に介さず、CO2を排出し続けている。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、杉山大志氏による最新リポート。 日本政府は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の下、50年CO2(二酸化炭素)排出ゼロを目標にしている。それを直線的に目指すとして、第6次エネルギー基本計画(6次エネ基)では30年に46%削減としている