政府の税制調査会で、個人所得税のあり方に関する議論が進んでいる。年間所得が１億円を超えると税負担が低くなる「１億円の壁」問題や、多様化する働き方に応じた所得課税のあり方についての考え方が中期答申に盛り込まれる見込みだ。 10月18日にあった税制調査会の総会では、退職金への課税制度の問題点について議論された。現行制度では、退職金への課税は勤続年数によって控除率が変わる。日本は他の先進国と比べて従業員の平均勤続年数が高く、こうした税制が雇用の流動化を阻んでいるといった意見も出た。 また、ほかにも女性の働き方や、私的年金制度に関わる税制上の問題も議題に挙がった。配偶者の収入が103万円を超えると配偶者控除を受けられなくなり、女性の就業抑制につながると指摘されてきた「103万円の壁」は、現在150万円まで控除を受ける上限額が引き上げられている。その一方で、人事院の調査では、民間企業が配偶者手当の支

税金の無駄使い等をチェックする会計検査院は１０月１８日、国庫補助金の交付を受け、マイナンバー情報連携を使い情報を取得できるよう生活保護システム等の改修をしたにもかかわらず、情報照会が全く実施されていない自治体が、全国で３７あったことを公表した。生活保護費を決定するには、世帯収入の把握が必要となるが、自治体では官公署や日本年金機構等に対し、これに必要な資料の提供を求めることができることになっている。 各自治体では、生活保護費算定のため独自の生活保護システムを活用している。一方、マイナンバー制度の導入により、情報提供ネットワークシステムを通じて、行政機関同士が連携して、各種給付事務に必要な情報のやり取りが可能となった。そこで、厚生労働省では、この情報連携のため、自治体に対し、生活保護システムと情報提供ネットワークシステムを接続し、生活保護システム等の改修を行った場合に、改修に必要な経費等を対象

政府が新たな経済対策を検討していることを受け、日本商工会議所は１０月１２日、「物価高を克服し、中小企業の自己変革や民間投資を呼び起こす経済対策を」と題した必要な経済対策とビジネス環境整備への要望をまとめた。 基本的な考え方では、新型コロナウイルスと共生する社会への転換が進み、コロナ禍の出口は見えつつあるが、足元では、急激な円安が資源価格等の高騰に拍車をかけ、対露制裁に伴う物流混乱なども相まって、複合的要因による物価上昇が国民生活や企業経営に甚大な影響を及ぼしていることや、日常生活が回復する中、人手不足が深刻化し、多くの中小企業はコスト上昇分を価格に転嫁し切れず、収益が圧迫されながらも人材確保のための賃上げに取り組まざるを得ない状況に直面していることなどの現状を掲げた。 そして、１）足元の物価高、コスト増の克服に向けた対策、２）中小企業の自己変革や人材育成など、潜在成長率を底上げする対策、３

令和５年１０月からスタートするインボイス制度では、適格請求書発行事業者が日本国内にある商品の販売やサービスの提供等を行う場合には、原則、買手からの求めに応じて適格請求書（インボイス）を発行する義務がある。ただし、適格請求書に代えて、「適格簡易請求書」を交付できるケースがある。適格簡易請求書とは、売手事業者が、適格請求書に代えて買手事業者に交付することが認められている書類をいう。 新消費税法では、適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う事業を行う場合には、適格請求書に代えて、適格請求書の記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付できるとしている。対象事業は、１）小売業、２）飲食店業、３）写真業、４）旅行業、５）タクシー業、６）駐車場業（不特定かつ多数の者に対するものに限る）、７）その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業だ。 「不