ワールドスーク 第一部 「思いやり深き娼婦、それが私である」 大女神イシュタル BC1800バビロニア 「私たちは姉妹たちに思いやり深いばかりでなく、全人類に対して思いやり深いのです」 マグダラの娼婦マリア 『マルコによる福音書』 世界売春事情 売春に対する人の反応は様々だ。ニヤニヤしだす人、眉をしかめる人、その話題に触れたくないように 無視する人・・・。しかし、一歩翻って、どうして私たちがこれほどに多様な目でこの営みを見ているのか考えてみると、私たち自身が生まれ育った環境や、受 けてきた教育、そして個人的な性格などが見えてくる。 娼婦たちの歴史は恐ろしく古い。今からはるか四千年前、娼婦は女神の象徴だった。何にも縛られることな く、すべてを受け入れ大地に恵みと多産をもたらす女。巫女たちは神と世俗を結ぶために、男たちと交わった。それは学問であり、信仰であり、治癒であった。 神話の中に生きる娼