願わくはこれを語りて非寮生を戦慄せしめよ 今日は昼前に吉田寮にやってきて、探索を行った。目的は、この場所の現状の記録と、話の収集である。 吉田寮は外から見ると、まるで廃墟同然だが、中からみても、やはり廃墟同然だ。ただし、そこには紛れもなく人間が生息している。 庭には、様々な動物が、食用として飼われている。私が確認した限りでは、ニワトリとヤギとウサギとエミューがいる。ネコもいるのだが、これはさすがに食用ではないだろう。 ここでは、あらゆるものが乱雑に放置されている。盗まれることもあるらしいが、果たしてどれが私物で、どれが捨てられているのか、そのへんは明確ではない。 ここでは、食べ物には所有の概念がないらしく、食べ物を放置していると、しょっちゅう食べられる。私の取材し得たO氏からは、炊飯器にご飯を炊いておき、いざ食べようとフタを開けたら、すでに誰かに食べられて空っぽだった事例を収集した。 ただ