母親マウスが、危険を冒しても子のマウスを助けようとする脳の仕組みを明らかにした、と理化学研究所(理研)などの研究グループが発表した。人間にも見られるマウスのこうした行動の鍵を握る神経細胞やタンパク質を突き止めた成果だ。子育てにまつわる人間の脳内メカニズムの解明につながる可能性もあるという。 マウスは、母親だけでなく父親や兄弟姉妹なども子育てをすることから、子育て研究に適しているとされる。理研脳神経科学研究センターの吉原千尋研究員、時田賢一研究員(研究当時)、黒田公美チームリーダーらは、脳の中心近くにある「内側視索前野中央部(cMPOA)」という小さな部位が、子育てに必須の機能を持つことを2012年に明らかにしている。しかし、この部位には7種類以上の神経細胞があり、どの細胞が子育てに必要か、など詳しい仕組みは不明だった。 研究グループはまず、高さ40センチの高さに設置した十字型の細い通路(幅