手のひらに多量の汗をかく「手掌(しゅしょう)多汗症」の手術により別の部位から異常発汗し社会生活が困難になったとして、病院側を相手取り提訴するケースが相次いでいる。東京都や千葉、長野県でこれまでに少なくとも6件あり、9日には東京高裁が医師の説明不足を認定し病院側に賠償を命じた。手掌多汗症に詳しい医師は「深刻な副作用は少数だが、事前の十分な説明が必要」と指摘している。 この手術は「胸腔(きょうくう)鏡下胸部交感神経切除術」(ETS)。内視鏡と電気メスで脇の下の交感神経を切除する。手掌多汗症は治るが、別の部位の汗が増える「代償性発汗」と呼ばれる副作用が、程度の差はあるもののほとんどのケースで起きるという。 千葉県の女性(38)は24歳の時、ピアノの鍵盤が汗で滑るようになり99年7月、東京都品川区の病院で手術を受けた。費用は自己負担約3万円を含む約54万円で、手の汗は止まったが背中や太ももから