ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (8)

  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 16 安倍を支えたリフレ派ブレインたちの言い訳

    現在、アベノミクスをかつて支持していた「ブレイン」たちの言い訳があちこちでなされている。 その一人、浜田宏一氏や岩田規久男の言い訳を紹介し、批判したサイトを一つだけ紹介しよう。 Money Voice http://www.mag2.com/p/money/27546 そもそも「物価は貨幣現象」というのが、浜田氏や岩田氏、黒田氏などの「リフレ派」の主張だった。 もちろん、物価が貨幣に密接に関連した現象であることは、誰も否定していない。問題は、「貨幣現象」という表現を超えたことを、彼らが主張していることである。彼らの主張は、むしろ「貨幣数量説」と呼ぶ方が正確である。 では、貨幣数量説とは何か? それは物価水準が貨幣ストック(市場に供給されている貨幣量の総額)によって決定されるというアイデア、教義である。それは次のきわめてシンプルな数式によって示される。 PQ=MV この式で、Mは貨幣量、Vは

    toraba
    toraba 2017/07/21
    リフレ派=マネタリスト?
  • グローバル化とナショナリズム・愛国主義の政治社会学 「きれいはきたない。きたないはきれい。」(シェークスピア『マクベス』)

    グローバル化とナショナリズム・愛国主義の政治社会学 「きれいはきたない。きたないはきれい。」(シェークスピア『マクベス』) しばしば一見して相反する、または矛盾する事柄が同じ人(政党、団体、組織など)から発せられることがある。が、人はそれを矛盾と感ずることなく、見過ごすことが多い。 もし同じ場所・同じ時間に同じ人がその二つのことを話したら、ほとんどの人は違和感をおぼえるだろう。しかし、場所的・時間的に分離してしまうと、相反事象や矛盾が相反ないし矛盾とは意識されないことがある。おそらく何らかの事情で人間の頭脳がそのように出来ているのであろう、というしかない。 一例をあげよう。現在、企業経営者たちは、どこの国でも、「グローバル化のメガコンペティションの中で経営が苦しい。だから賃金の引き上げなど労働条件の改善が難しい」と泣き事をいうのが常套である。これは経営者の職務のようなものである。しかし、場

  • アメリカとイギリスで始まる若者の新しい動き 「新自由主義」批判の波

    アメリカとイギリスの若者の間で、新しい動きがはっきりしてきました。 それは、新自由主義(ネオリベラル)政策と決別し、新たな社会主義を模索する動きです。 そもそも1980年頃まで、世界経済は現在とはかなり異なる状態にありました。 いわゆる「資主義の黄金時代」(golden age of capitalism)といわれる時代にあって、経済の成長率もかなり高かったわけですが、それ以上に特徴的だったのは、労働生産性の上昇とともに、それに比例して、あるいはそれ以上に人々の雇用者報酬(賃金)が引き上げられていったことです。 そのため、最近日でも注目されたサエズ、ピケッティの研究が示すように、戦中から戦後にかけて大幅に縮小した所得格差がふたたび拡大することはありませんでした。そして、この時代に大衆消費社会が到来し、中間階層といわれる階層が出現しました。 ところが、1979年のイギリスの総選挙、それに

  • なぜ現代経済は不安定化したのか?

    近年の資主義経済がきわめて不安定化したことは、経済の専門家、非専門家を問わず、多くの人々が広く認めている。 その理由はどこにあるのか? グローバル化と金融化の2つの要因をあげることができよう。 1)グローバル化 グローバル化とは、「自由市場」、つまり市場優先主義または市場原理主義の世界的な普及であるが、これは従来からの国民経済を根的に不安定なものとする。何故か? それは根的には有効需要が不安定化することに由来する。 比較のために、まったくグローバル化していない経済(閉鎖経済)を考えよう。このケースでは、国内の有効需要(総需要)は、次の式で示される。 Y=C+I+G  総需要=消費需要+投資需要+政府支出 有効需要の各項目は、よほど危機的な状況が生じない限り、安定的である。たしかに個々人は個人的な事情により消費支出の金額をかなり大幅に変えるかもしれない。またその内容(構成)は漸次的に変

  • ガルブレイス、EU債務危機と緊縮の殺伐とした風景を描く

    EU債務危機について説明するとき、債権者はなぜ「緊縮」を求めるのか、また世界の指導的な経済学者(クルーグマン、スティグリツ、ガルブレイスなど)が「緊縮」に反対するのか、質問されることがあります。 一見したところ、緊縮というのは当然の正しい要求のように見えるかもしれません。たしかに単純な算術計算上では、そのように思えます。例えば政府の収入(歳入)が100、歳出が200ならば、赤字は100ですから、その他の条件が等しいならば(ceteris paribus)、歳出を 50 削減すれば、赤字は 50 に減少します。 しかし、この ceteris paribus という呪文のような言葉が問題です。というのは、経済の世界では、ある変化が生じると、前提条件自体が変わるからです。例えば、上の削減額の 50 が GDP の15%に等しいと仮定しましょう。この削減は政府支出による有効需要を総需要の少なくとも

  • ユーロ圏における高失業を生み出したゼロ思考/単一思考 (1)

    EU総選挙で、特にユーロ圏の有権者がEUと通貨統合に拒否反応を示したことは、理由なくして生じたことではない。またルペンの率いるフランスの国民戦線(極右政党)などが票を伸ばしたことも偶然ではない(私自身は決して支持しているわけではない。念のため)。フランス社会党までが、これから説明する・国民大衆にとって好ましくない政策にのめり込んでしまったときに、それに反対する人々が取りうる選択肢は限られているからである。ちょうど1932年のドイツの総選挙で(失業政策を放棄した昼ファーディング率いる)SPDに多くの労働者が幻滅したようにである。 ヨーロッパでは、ユーロという単一通貨を創出することは、バンコールという世界貨幣を創出するという戦後通貨体制に関するケインズ案の精神にそうものだと主張する人々がいある。しかし、それはまったく誤りである。 そもそもケインズ案は、各国政府が「完全雇用」をめざして、それぞれ

  • ジョン・メイナード・ケインズ「国民的自給」(1933年)を訳す

    1933年にケインズは「国民的自給」という論文を執筆し、発表しました。 John Maynard Keynes, "The National Self-Sufficiency," The Yale Review, Vol.22, no.4 (June, 1933), pp.755-769. この論文は、ケインズがいわばグローバル化と自由貿易主義に決別を告げた宣言書とでもいうべきものです。 原文は、私が出会った中でもかなり難解な英文で書かれていますが、一読の価値ある論文と考えて日語に訳してみました。間違っているところがあるかもしれませんが、以下に紹介します。なお、公表から50年以上過ぎており、著作権の問題はありません。 私は、ほとんどの英国人と同様に、自由貿易は理性的で教養のある人ならば疑ってはならない経済学上の教義であるばかりでなく、またほとんど道徳律の一部として尊敬すべきものと教育され

    toraba
    toraba 2014/05/17
    「外国の資本家の資源と影響が国の経済構造に浸透すること、そして外国の変動しやすい経済政策に自国の経済生活が大きく依存することなどが国際平和を守り、保証しているようには見えない」
  • 無理難題 人件費を下げたい、でも需要は増えて欲しい

    カール・マルクスの『資論』(たしか1868年)は、今から150年も前の。古めかしいという人も多いと思います。たしかにその通りです。しかし、古くても、現代経済の特質をずばり指摘している鋭い経済分析のであることは事実です。 その一つが、個別資(企業)の立場と社会的総資(一国の企業全体)の立場の区別と対立です。これは1936年にケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』で展開したこととも共通する論点です。簡単に言えば、次のようなことです。 個々の企業は、社会全体の総需要が一定(不変)という仮定の下では、賃金(人件費)を引下げ、自社製品の価格を引き下げれば、売れ行きが増えるため、生産量を増やし、雇用も拡大し、利潤も増やすことができます。これは正しい命題です。 しかし、一国のすべての企業が同じことをやったらどうでしょうか? 例えばすべての企業が貨幣賃金率を(例えば5%)引き下げるのです。

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