EU総選挙で、特にユーロ圏の有権者がEUと通貨統合に拒否反応を示したことは、理由なくして生じたことではない。またルペンの率いるフランスの国民戦線(極右政党)などが票を伸ばしたことも偶然ではない(私自身は決して支持しているわけではない。念のため)。フランス社会党までが、これから説明する・国民大衆にとって好ましくない政策にのめり込んでしまったときに、それに反対する人々が取りうる選択肢は限られているからである。ちょうど1932年のドイツの総選挙で(失業政策を放棄した昼ファーディング率いる)SPDに多くの労働者が幻滅したようにである。 ヨーロッパでは、ユーロという単一通貨を創出することは、バンコールという世界貨幣を創出するという戦後通貨体制に関するケインズ案の精神にそうものだと主張する人々がいある。しかし、それはまったく誤りである。 そもそもケインズ案は、各国政府が「完全雇用」をめざして、それぞれ