第6章 公安の維持 1 変ぼうするスパイ活動とその取締り 我が国に対するスパイ活動は、我が国の置かれた国際的、地理的位置関係から、ソ連、北朝鮮等共産圏諸国からのものが多く、複雑な国際情勢を反映して、これらの活動は、ますます巧妙、かつ、活発に行われている。スパイ活動を行う工作員には、外交官、ジャーナリスト、研修生等といった身分を隠れみのにして合法的に入国する者と、夜陰に乗じて海岸等からひそかに潜入する者等がある。これらの工作員は、金銭関係、異性関係等から生じる欲望や個人的弱点を巧みに利用して、日本人を手先に仕立てる例が多い。これらの手先となった者には、スパイ活動であることを知りながら積極的に加担する者もあるが、自覚のないうちにスパイに仕立て上げられる者もある。 従来のスパイ活動は、我が国に関する各種情報や在日米軍基地情報を不法に入手するものや、北朝鮮工作員が不法に我が国に潜入し、我が国を中継