伝えるメディア側が、実は視聴者や読者をバカにしている? ――前回までのお話で、日本の国際貢献が、新しいインフラ市場やBOP市場の発達と密接に関連していること、そして多くの日本人が現場で奮闘していることを知りました。国際貢献というと、税金のムダ使いじゃないか、現地で役に立ってないんじゃないか、というぼんやりしたイメージがあったのですが、メディアの末席にいながら不明を恥じる次第です。 池上 私も現場を取材し、専門家の方々と直にお話しすることで、日本の国際貢献の意味がはっきり見えるようになりました。 実は長年、日本国内で「国際貢献」という言葉はあまりイメージがよくありませんでした。それというのも、70年代から80年代にかけて、「日本は国際貢献分野でカネは出すけれどもヒトは出さない」と何度も批判されたからです。 きわめつけは、90年代初頭の湾岸戦争のときです。日本は130億ドル以上の資金援助を多国