1967年、米軍はある基地を閉鎖した。それは北極圏にあるグリーンランドの氷の下に建設されたもので、200人分の電力をまかなう小型原子炉があった。閉鎖にあたって原子炉は撤去されたが、ガソリンからPCB、原子炉冷却水といった廃棄物はそのまま残された。 当時、アメリカとグリーンランドを植民支配していたデンマークの思惑では、雪に覆われた地下に埋められた廃棄物は永久に氷の下で眠ったままになるはずであった。 しかし、『ジオフィジカル・リサーチ・レター(Geophysical Research Letters)』誌に掲載された最新の研究によって、温暖化によって氷床が溶け、有害な廃棄物が地表や海洋に流出する恐れがあることが明らかとなった。 廃棄物が環境や人体に有害であることは無論であるが、より重要なことは、これによってアメリカ、デンマーク、グリーンランドとの間にデリケートな問題を発生させることだ。 この画