ブックマーク / honz.jp (116)

  • 『明治 大正 昭和 化け込み婦人記者奮闘記』化け込み=潜入取材ルポ 型破りな女性記者たちの物語 - HONZ

    2022年度の新聞・通信社における女性記者の割合は男性の4分の1弱である(一般社団法人日新聞協会調べ)。放送業界は多少マシな気もするが、それでもメディアが圧倒的に男性中心であることは変わらない。現代ですらそんな体たらくなのだから、戦前なんて推して知るべし。女性記者(当時は「婦人記者」といった)は各社片手で数えられるほどしかいなかった。 婦人記者という新たな職業が生まれたのは、明治20年代だという。女性読者の増加に伴い、女性向けの記事が求められ、東京や大阪の有力新聞が女性を採用するようになった。 とはいえ、のっけから婦人記者が活躍できたわけではない。女性向けの記事といっても、アイロンのかけ方、シミの抜き方といった家政記事か、政治家や実業家のお宅に赴き、奥様方に普段の生活や子どもの教育法などについてインタビューする名流婦人訪問記などがメインだった。 「号外に 関係のない 婦人記者」と当時の川

    『明治 大正 昭和 化け込み婦人記者奮闘記』化け込み=潜入取材ルポ 型破りな女性記者たちの物語 - HONZ
  • 過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 - HONZ

    過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 この『ゴーイング・ダーク』は、イスラム聖戦主義者やキリスト教原理主義者、白人のナショナリストや極右の陰謀論者、過激なミソジニストたちの組織など、12の過激な主義主張をかかげる組織に著者が潜入したさまをつづるルポタージュである。 潜入が実施された期間はおおむね2017年から18年にかけての2年間で、その間に著者はオンライン活動への参画を中心としながら、そうした組織の裏側でどのような活動や勧誘が行われていて、彼らがどんな思想を持っているのかをつぶさに見ていくことになる。 著者が潜入するのは初心者にもハッキング講座を施してくれる、親ISISのハッキング組織から白人ナショナリストなど過激な思想を持つもののみが参加できる特殊なマッチングサイトまで様々だが、そこには共通する人間の傾向や勧誘の手口が

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  • 地図の世界がいまアツい!『地図づくりの現在形』 - HONZ

    読書の楽しみは、煎じ詰めれば、「これまで知らなかったことを知る」ことにある。その喜びは何物にも代えがたい。だから好きにとって最高のというのは、書かれていることが「知らないことだらけ」のなのです。 書はまさにそういう一冊だった。 店頭で思わずスルーしてしまいそうな地味なタイトル。でも手にとってみると、これまでまったく知らなかった奥深い世界が広がっていた。 いやー、まさか「地図」がここまで面白いとは! 地図は私たちにとっていまや空気のようなもの。スマホの地図アプリのお世話にならない日はない。でも当たり前のように利用しておきながら、地図そのものの来歴に思いを馳せる機会なんてほとんどなかったのではないだろうか。 でもね、地図は先人たちの大変な努力のもとにつくられているのです。 人類が誇る知的遺産なのです。ところがそんな地図の世界に、21世紀になって巨大な変革の波が押し寄せているという。どう

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  • 『国道16号線 「日本」を創った道』 - HONZ

    私が住む東京都町田市の小田急町田駅の東口の広場には「絹の道」という石碑がある。それをゼミ生に見せてからJR横浜線の下り線に乗り、八王子に向かう。その車中で、なぜ八王子と町田を結ぶこの街道が絹の道と呼ばれるか、学生たちに説明する。 このあたりの多摩丘陵の地形地質が桑畑に向いていて、それが地域の養蚕業を盛んにしたこと。そうして絹製品の産業基盤がこのあたりにあったところに、幕末期に盛んになった生糸輸出で、山梨や長野、群馬の生糸がいったん八王子に集まり、そこから輸出港横浜まで運搬されるルートができたこと。その流通加工拠点であった八王子には富が蓄積されたし、横浜までは生糸を馬の背に乗せて運ぶにも一日では歩ききれないので、行商人たちがその中間地点の町田で一泊してお金を落としたこと。横浜で生糸を売り捌いて懐が暖まった行商人たちが、おそらく帰路についた一泊目の町田で羽根を伸ばしたので町田には町の規模の割り

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  • 『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』最新技術と地道な発掘の組み合わせが起こす革命 - HONZ

    「あなたがカッコいいと思う人物は?」と聞かれたら、迷うことなく漫画『MASTERキートン』の主人公、平賀=キートン・太一の名前を挙げる。キートンは、軍の特殊部隊で身につけた技術をもとに、危険を伴う保険調査員の仕事をこなしながら、考古学者になる夢を持ち続けている。物語のクライマックスで、たったひとり発掘作業に臨むキートンは当にカッコいい。たとえひとりきりだろうと、情熱に突き動かされるまま、彼は黙々と大地を掘り返すのだ。 考古学への情熱では書の著者も負けていない。子どもの頃、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を観てインディ・ジョーンズに魅せられて以来、その熱が衰えたことはないという彼女は、新しい研究分野「宇宙考古学」の第一人者でもある。 「衛星考古学」や「衛星リモートセンシング」とも呼ばれる宇宙考古学は、人工衛星などで取得したデータを解析し、地中に埋もれている人工物を見つけ出す最先

    『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』最新技術と地道な発掘の組み合わせが起こす革命 - HONZ
  • 『北斎になりすました女 葛飾応為伝』歴史の闇に隠れた鮮やかな生涯 - HONZ

    葛飾北斎は「為一」や「卍」など30以上画号を変え、90回以上も住居を変え(近所でぐるぐると回る説もあり)、描くテーマも浮世絵から漫画、さらに春画まであらゆるジャンルを描いてきた。私は北斎に強く影響を受けており、何より晩年作品の繊細さと完成度には、人の表現はここまで進化するのかと驚いた。 画家といえば、ピカソも長寿で多作である。その数は生涯14万点を超える。青の時代における絵画から、キュビズムまでその作品の多様性には北斎と共通する。ただ1人の人間から生み出されるエネルギーや力強さなどは一貫している印象があり、北斎の晩年におけるタッチの繊細さと、うすぼんやりとした心の闇を表すような暗さはない。実際に「富士越龍図」など絶筆の北斎作品を観ると、まるで別人格になったような違和感と魅力がある。 書は画家・葛飾北斎の娘に焦点をあてたものだ。当時は江戸ナンバーワンの人気絵師である北斎の元に、その絵の技術

    『北斎になりすました女 葛飾応為伝』歴史の闇に隠れた鮮やかな生涯 - HONZ
  • 「神保町」へ、ブラHONZしてきました - HONZ

    はーい、こんにちは。好評だった箱根箱に続く、2回目のブラHONZは、の街・神保町です! 神保町といえば、世界最大の古書街で、たくさんの出版社が集まる、まさに好きの聖地。第1回の箱根箱に続き、私・塩田春香と足立真穂が、神保町散策&マンガアートホテル宿泊をレポートします! ――というわけで、やってきました、神保町(私、会社が神保町にあるので、 わざわざ「やってきた」わけではないのですが……)。 足立とは宿泊するマンガアートホテルで落ち合う予定。それまで一人でぶらぶらと、神保町を歩くことにします。 神保町の歴史をひもとくと、皇居のすぐ北側にあるこの地域は江戸時代、武家屋敷が立ち並んでいたそうです。神保町の名は、この地に屋敷をかまえた旗・神保家に由来しています。 古書店が集まり始めたのは、明治になってから。現在、書店の数は古書店と新刊書店合わせて200店舗ほど、出版社の数も大小合わせて5

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  • 『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 失われた世界の新たな歴史 - HONZ

    そこに描かれている恐竜の姿に圧倒されつつ、胸をワクワクさせてページを繰った子どもの頃。そのワクワク感を思い起こさせてくれるような快著である。 2010年代に描かれる恐竜は、かつてわたしたちが見聞きした恐竜とはまるで異なっている。というのも、恐竜にまつわる研究がこの20年ほどで著しく進展し、恐竜のイメージが大きく書き換えられたからだ。驚くなかれ、たとえば新種の恐竜は、平均して週に一度のペースで発見されているのだという。書は、そうした研究の進展を背景にして、気鋭の若手研究者が新たな視点から「恐竜の世界史」を再現しようとしたものである。 よく知られているように、恐竜は三畳紀、ジュラ紀、白亜紀といった地質年代を生きていた。だがじつは、従来のイメージとは異なり、恐竜はすぐさま生物界の覇者にのしあがったわけではない。三畳紀(とくにそのうちの2億3000万年前~2億100万年前)の恐竜は、それほど大型

    『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 失われた世界の新たな歴史 - HONZ
  • 『食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ』躍動感あふれる創造の歴史 - HONZ

    白人によって作り上げられた「ファストフード帝国」。画一化されていて正直面白みに欠ける反面、汎用性の高さゆえに世界中至るところへ浸透している。恥ずかしながら、書を読む前に「アメリカ文化」としてまず思い浮かぶのはこの印象だった。 しかしその原点にまで遡っていくと、まったく異なる景色が見えてくる。元をたどればそこには画一化とはほど遠い多様さがあり、また必ずしも白人たちが主役だったわけでもない。 アメリカを代表するとされるべ物の中には、実は非西洋にルーツを持っている例が少なくない。ポップコーンは先住インディアン由来のべ物だし、フライドチキンは黒人奴隷と深い関わりを持っている。 外部からの影響の大きさを抜きにして、アメリカ文化を語ることはできない。書はそんな立場から、従来のイメージとは異なるアメリカの実像に迫る一冊だ。 植民地時代〜独立革命期まで遡っていくと、アメリカ文化の形成

    『食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ』躍動感あふれる創造の歴史 - HONZ
  • 祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 - HONZ

    書の単行が出版されたのは2006年の年末のことだ。出版社は、今は無き新人物往来社。当時、屋をめぐって新刊を探していた時に、棚から私を誘ってきただった。 タイトルを見た瞬間に気持ちが鷲づかみにされた。「ツガルソトサングンシ」と読むこの文書の話を私が初めて聞いたのはずいぶん前のことだ。「青森の旧家から見つかった、大和朝廷に対抗した豪族の記録」で、当時から真偽が問われていると聞いていた。「東日流外三郡誌』はその旧家から見つかった膨大な和田家文書の一部であると言われた。 嘘かもしれないと言われても、書かれていた歴史がものすごく面白かった。少し長いが編より引く。 はるか昔、津軽地方には大陸をルーツとする阿蘇辺族が居住。そこに津保化族と呼ばれる人々が渡来し、土器や竪穴式住居など縄文人独特の生活スタイルをつくり上げた。その後、岩木山の噴火によって阿蘇辺族王国が滅亡し、津保化族王国に統合されるこ

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  • 『ゆるカワ日本美術史』日本独自のアート - HONZ

    笑う埴輪の兵士。 相撲をとる蛙とウサギ。 シャボン玉を吹く金魚。 書に登場する作品は、とにかく可愛く、とにかくユルい。 アートの文脈をひもとくと、西洋では19世紀半ばのルネサンス以降、より実物に肉薄するリアリズムの追求が芸術の目標だった。ミケランジェロの彫刻は肉体をリアルに再現し、遠近法をふまえた絵画は実際の風景があるかのように見せた。そこからセザンヌやゴーギャンなど印象派の画家達が表れ、リアリズムに取って代わるものとしてモダンアートが生まれるようになる。 つまり欧米主体のアートヒストリーでは、ゆるくてかわいい文化は育たなかったことがわかる。一方、日文化はアニメや漫画などのエンタテインメントが豊富で、日はキャラクター天国とも呼ばれている。 書は縄文時代の土偶や埴輪など、中でも可愛らしい作品から、仏像や中世絵巻と近代絵画に至るまで、「ゆるカワ」美術作品にフォーカスした一冊だ。紹介さ

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  • 『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ - HONZ

    韓国では著名なイラストレーターである著者が、31歳から40歳まで9年をかけて完成させたのが書『ソッカの美術解剖学ノート』である。 骨や筋肉や内臓など、人体構造について「なぜ今の形になったのか」に言及されているのがポイントであり、その知識をふまえイラストで絵の描き方を伝えている。書では人体の仕組みを知れるのと同時に、各部位がどう動きその形状になったのかが楽しく理解できる。 この楽しさというのが重要であり、「イラストの図解が付いた、とんでもなく面白い人体」と言ったほうがイメージとして伝わりやすいかもしれない。 一般的には、人体やイラストといえば「このように描きましょう」と、一方的に描き方を説明するものだ。一方で書は、目を描く際は「西洋人のまぶたは薄く、瞳孔がよく見える構造となっています。対照的に東洋人はまぶたが厚く、瞳孔がよく見えないため何を考えているのか難しくなり、神秘的なイメー

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    toyoashiara
    toyoashiara 2019/03/08
    良書
  • 『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち』 世界初のパーソナルゲノム医療はいかに実現したか - HONZ

    2003年、ヒトゲノムの解読が完了し、科学は歴史的な一歩を踏み出した。それから6年後の2009年、今度は医療において大きな一歩が踏み出される。患者個人のゲノムを解析し、その結果にもとづいて診断・治療を行うという「パーソナルゲノム医療」が産声を上げたのだ。書は、医師と研究者、そして患者と家族に焦点を当てながら、その新たな医療が生まれるまでを描いたドキュメンタリーである。 先に言ってしまうと、書がことさら魅力的なのは、それが豊かな科学的知識を授けてくれるからではない。そうではなく、登場人物たちの悲喜こもごもを濃密な筆致で描ききっていることこそが、書の際立った魅力であろう。その点において、ピューリッツァー賞も受賞しているこのジャーナリストのコンビはやはり強力だ。事実を淡々と積み上げていく記述ながら、最後に読者をアッと言わせるだけの力がある。 舞台はアメリカのウィスコンシン州。5歳になるニコ

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  • 『江戸の目明し』時代劇のファンタジーを吹き飛ばす - HONZ

    銭形平次、人形佐七、三河町の半七…テレビドラマや小説で人気の親分たち。近年では中村梅雀さん演じる黒門町の伝七がよかったなあ。かつて同じ伝七を演じて大ヒットを飛ばした父上・中村梅之助さんから、亡くなる直前に秘蔵の十手コレクションを託されていたとか。劇中で使われていたのがその十手なのかどうかは定かではないが、紫房の十手を大切に神棚に祀る姿は、亡き父上への敬意を胸にこの役を受け継いだのであろうと思われて、なおさら感動し楽しく拝見した。いいねえ、時代劇。江戸の人情。人の世は情。そして正直、まっつぐこそ庶民の心意気…。「よよよい、よよよい、よよよいよい!めでてぇな!」 ところが!岡っ引き、すなわち目明しの実態は、ドラマや小説とはかけ離れているのだという。そもそも十手は用がある時だけ貸し出され、捕り物が済んだら取り上げられるので神棚に祀るなんて無理無理。いやそも、建前では目明しは「存在しない」。いない

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  • 『土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話』 - HONZ

    書はデイビッド・モントゴメリー著“Growing a Revolution”の全訳であり、『土の文明史』『土と内臓』(ともに築地書館)に続く三部作の完結編である。三作はいずれも、人間社会とそれを包括する文明と環境を、「土」という共通の切り口で解読したものだ。 一作目『土の文明史』では、世界の文明の盛衰と土壌の関係を。世界中のさまざまな時代と地域を検証した著者は、土壌が文明の寿命を決定し、土を使い果たしたとき文明は滅亡するという結論に達した。現代文明においても、農業生産性を上げるために化学肥料や農薬、機械力を集中的に投入するほど、土壌は疲弊し、やがては生産に適さなくなる。しかし化学製品の投入量を抑え、土壌肥沃度を高めながら、今後の人口増加に対処して糧を増産するような方向へと転換することは可能なのだろうか。われわれの文明が滅亡を回避するための道として、土の扱いを変えることを提唱しながらも、

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  • 『大英帝国の歴史』イギリスの人気歴史家、ニーアル・ファーガソンの出世作がついに翻訳! - HONZ

    『憎悪の世紀』『マネーの進化史』『文明』などで有名なイギリスの歴史家、ニーアル・ファーガソンの新刊である。最も書は国イギリスで2003年に出版されていた作品だ。連動して制作されたテレビ・ドキュメンタリー『EMPIRE: How Britain Made the Modern World』ではニーアル・ファーガソン自身が番組の案内役として出演し英語圏各国で多くの視聴者を得た。まさに、ニーアル・ファーガソンの出世作といっていい作品なのである。 そのテーマも壮大で、400年に及んだイギリス帝国の発端から終焉までを政治、軍事、経済、宗教と縦横無尽に駆け巡り論じ、ミクロとマクロの視点を交互にしながら、なぜイギリスが大帝国を築くことができたのか、そして、イギリスが作り上げた帝国は歴史上どんな意義があったのかと、問いかけていく。 特に2点目の帝国の意義という問いかけは大変に難しいものであろう。現代社

    『大英帝国の歴史』イギリスの人気歴史家、ニーアル・ファーガソンの出世作がついに翻訳! - HONZ
  • 『酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅』「食」から人類の歩みを知る - HONZ

    原書のタイトルを直訳すると「過去を抜栓する」。酒と人類の壮大な物語を描いただから、いかにも香り立つようでおしゃれだ。翻訳タイトルは『酒の起源』。もちろん『種の起源』のオマージュだ。こちらも素敵。 版元の白楊社は2016年に『酒の科学』というを出版していた。こちらの原書タイトルは「プルーフ」。プルーフにはアルコール度数だけでなく、印刷前のゲラという意味もある。こちらもウィットに富んでいて楽しい。 酒をテーマに選ぶ研究者や編集者たちは、酒に酩酊効果だけではない、アートを感じ取っているからかもしれない。タイトルがおしゃれというだけでなく、文もグラスを片手にゆったりと読めるように工夫されている。書も例外ではなく、要所に図版や地図が使われていて、考古学者とともに世界を旅している気持ちになる。 『酒の起源』は中国、チグリス・ユーフラテス、中央アジア、地中海、新世界、アフリカという世界史に現れて

    『酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅』「食」から人類の歩みを知る - HONZ
  • 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ

    私は、1年のうち少なくとも3ヶ月は、海外で恐竜化石調査を行っている。主な調査地は、モンゴル・アラスカ・カナダ・中国、そして日である。2017年4月には、北海道むかわ町穂別から発見された日で最初の大型恐竜の全身骨格について、発表をした。全長8メートルのハドロサウルス科という恐竜で、全身の8割以上が揃っている、世紀の大発見だ。私の研究は、それだけではない。恐竜から鳥類への進化の過程についても研究をしている。爬虫類的な恐竜から、鳥型の恐竜へと進化していくそのプロセスに注目しているのだ。脳の進化、消化器官の進化、翼の進化など、「恐竜の鳥化」というものをキャリアのテーマとしている。私だけではなく、世界中の恐竜研究者の成果によって、最近では「鳥は恐竜である」ということが定着してきた。つまり、世界中の鳥類研究者は、“恐竜研究者”ということになる。 * 最初に『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』が出版され

    『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ
    toyoashiara
    toyoashiara 2018/07/05
    小林快次氏の書評
  • 『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その②  - HONZ

    サメには第六感がある! 塩田 :ご著書『ほぼ命がけサメ図鑑』を読んで、サメすごいって思ったところがいろいろあって。 そのひとつが「サメの第六感」と言われる、ロレンチーニ器官。人間にないからわからないんですが、どういうものなんでしょうか? 沼口 :そうですね、たとえば砂地の下にカニがいるとして、人間だったら気がつかないで通り過ぎちゃいますよね? 塩田 :そうですね。 沼口 :それが、サメの場合、ロレンチーニ器官で生物の出す微弱な電流を感知できるんです。つまり見えていなくても、その近くを泳いだだけで、そこにカニがいるなって感じ取ることができる。 塩田 :イルカのエコロケーション(※自分の発した音の反響によって相手の位置を知ることができる機能)などとはまた違う? 沼口 :はい、サメ自体は発してないです。向こうが発するものを、感じ取る。 塩田 :それで、方向までわかったりするんですか? 沼口 :ロ

    『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その②  - HONZ
  • 『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ

    やばい、遅刻だ! 必死で走る私。バッグの中には、『ほぼ命がけサメ図鑑』。 その日私は、世界でただひとりのサメ専門ジャーナリスト(シャークジャーナリスト)であり書の著者でもある、沼口麻子さんと会う約束をしていた。が、池袋駅前で道に迷ってしまっていた。 サメ――海に行ってもお会いしたくない生物の代表格。「凶暴な海のハンター」というイメージをもつ人も多いことだろう。 ところがそのサメを追い求めて、サメの情報発信を生業としている女性がいる。しかも、6年がかりで執筆した『ほぼ命がけサメ図鑑』は発売後わずか5日で重版したというではないか! 『ほぼ命がけサメ図鑑』は、サメの生態など科学的な紹介から料理など人との関係、サメQ&Aに研究現場の紹介などなど、内容盛りだくさんのサメへの熱い想いにあふれる一冊である。 これはもう、著者に会ってみたいと思わないほうが、おかしいのではないか。 時間ぎりぎりに、汗だ

    『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ