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ブックマーク / blog.tatsuru.com (9)

  • 書類書くのはイヤだよう (内田樹の研究室)

    待つこと久し。ようやく冬休みである。 むろん、22日から冬休みであるというような話を聞くと、世間の人は「いいご身分で」と皮肉の一つも言いたくなるであろう。 私もそう思っていた時期がある。 研究に没頭し、たまに大学に出てぼそぼそと学生相手にわけのわからないことをつぶやいているだけでお鳥目がいただけた時代もあった。 今でもそういう象牙の塔的大学教師もいないではないし、そのような反時代的な教師に存在理由があることも変わらない。 けれども、おおかたの教師にはもうそのような生き方は許されていない。 膨大な量のペーパーワークが課されているからである。 私に課せられた書類仕事をもし私がまじめにやっていたら、たぶん一年365日書き続けていても空欄を埋めるに足りぬであろう。 学だけでも年間にトンをゆうに超える量の報告書が起草され、文科省その他に提出されている。 その書類はたぶんどこかの倉庫で誰の目にも触れ

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    tradorok 2007/12/23
  • おじいさんおばあさんをたいせつに - 内田樹の研究室

    テレビを見ていたら長塚京三が背中で嗚咽しているCMに遭遇した。 先週見たCMではいっしょに住友信託銀行に訪れて資産管理の引き継ぎをしていた彼の父が急逝したらしく、たっぷり資産を残してくれた父の遺言状を見て「父さん、ありがとう」と感謝の涙を流している中年の息子の背中をさらにその子供が見つめているという絵柄であった。 私はつい3日前に、「金満家の祖父のおかげで一族が栄えるという絵柄のCMがやがてテレビ画面に登場するであろう」とゼミのクロダくんに予言したばかりなのであるが、これほど早く私の予言が的中しようとは・・・ みなさんももうお気づきになったであろうが、最近の商品カタログなどの表紙は「三世代もの」が多い。 いかにもリッチそうな祖父母、その七光りで豊かな生活をエンジョイしている息子・娘夫婦、その倍の14光りの恩沢を受けて屈託なく微笑んでいる孫たち・・・の集合写真である。 これが意味することがお

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    tradorok 2007/11/09
    将来への不安が現在の消費を抑制する部分はあるのかも。でも裕福な老人に安心感を与えると個人消費が伸びる?逆に年金等の生活保証が無いことによって、貯蓄を取り崩す(消費を増やす)状況が生まれてくる気も。
  • 宴会週末 - 内田樹の研究室

    日曜が仕事だったので、土曜日の受賞祝賀会は二次会で切り上げて、早めに帰る。 橘さんセレクションのワインとブランデーが2ケースにシャンペンクーラーがあったので、かんちきくんに手伝ってもらってタクシーで帰る。 その祝賀会でもっともつよく記憶に残っているのは、「セトッチとおいちゃんの足元しか見ないダンス」(パンク・ミュージックではこのポーズのことを Shoe gazer と呼ぶと以前に増田くんに教わったことがある)と「ほとんどカール・ウィルソンみたいなドクターのファルセットとお気楽ダンス」と「甲南麻雀連盟会歌三番を聴いているときのかんちきくんの上気した頬」である。 総じて「かわいい系」の情景が私の記憶には選択的に残されるようである。 会の詳細については、ウッキーや青山さんのブログ日記にも証言が記されているのでそれを参照されたい。 発起人のみなさまの氏名をここに記して、感謝の意を表したい。 江 “

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    tradorok 2007/11/05
    無意味であるということを確認するのは、有意味であるということを確認するよりも数段難しいであろうことは、想像できる。
  • たまのオフなのに愚痴ばかり - 内田樹の研究室

    ひさしぶりの、ほんとうにひさしぶりのオフ。 ゆっくり朝寝をして、卵焼きとソーセージとトーストとスープの朝ご飯をべて、日だまりで珈琲を喫しつつ新聞を読む。 うう、幸せ。 三宅接骨院に行って身体の補修をしていただく。 だいぶねじれている。 仕事しすぎですよ、と三宅先生にご注意を受ける。 へい。 待合室でいろいろな人に会う。 身体の不調で受診しているということは重要な個人情報に属するらしいので、ここで誰に会ったのかをこのような場では公開することはできぬのである。 不便な世の中になったものだ。 その伝で行けば、映画館で人と会っても、酒場で人と会っても、それはその人の思想信条無意識的欲望などを漏洩することになるから、公開することができぬ道理である。 いったい個人情報保護では(汚職した役人や警察官が実名公開をまぬがれたという以外に)誰がどのような利益を得ているのか、それについて法の制定者には説明責任

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    tradorok 2007/11/05
    『「家庭の幸福」というものがもっぱら「社会的成功」の記号として機能している』だそうな
  • テレビの仕事 - 内田樹の研究室

    福田康夫と麻生太郎が生出演する「報道ステーション」を見る。 私はもともとテレビをまるで見ない人間なのであるが、「選挙速報」を甲野先生たちとわいわいツッコミを入れながら見たときに癖がついて以来、政治番組だけは一人でも見ている。 古舘伊知郎のインタビューを聴きながら、なんだか違和感を覚える。 彼は何か有用な情報を聞き出したいのか、それとも「質問してもきちんと答えない」様子を生放送で全国に放送したいのか、そこのところが私にはよくわからなかった。 相手が答えにくいような質問をして、その絶句するさまや、答えをはぐらかすさまから、その人の人物識見度量などを判定するということはたしかに可能である。 劫を経たジャーナリストの中には「それだけ」しかテクニックがない人(T原S一朗とか)もいる。 セレブたちが思いがけない質問に対応に窮するさまをみて視聴者が溜飲を下げるとか、爽快感を覚えるということもたしかにある

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    tradorok 2007/10/15
  • キャリア教育再論 - 内田樹の研究室

    大学教授会研修会。 キャリア教育について。 私は大学のキャリア・デザイン・プログラム委員会のメンバーで、今回の現代GPの起案者のひとりであるので、「大学教育におけるキャリア教育の意味」について基調報告を行う。 話はわりと簡単である。 なぜ、文科省は「キャリア教育の充実」を高等教育機関に求めるのか。 前に書いたように、これは「入り口」における「リメディアル教育」と対をなしている。 「リメディアル教育」が大学教育にキャッチアップできない学生たちに対する補習であるのと同じように、キャリア教育は大学を卒業したあとにうまく就労することができない学生たちに対する「補習」である。 人間はどうして労働しなければならないのか。 この社会にはどのような職種が存在するのか。 あなたにとっての適職は何か。 その職業に就くためには在学中にどのような知識やスキルを身につけなければならないのか。 まあ、そういうことを「

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    tradorok 2007/10/15
    ”自己利益の追求”はモチベーションをもたらさない、共同体のパフォーマンスを向上させることがモチベーションにつながる。だから、”共生能力”を高めるような教育をするべきだ。(要約)
  • 卒論中間発表です - 内田樹の研究室

    卒論の中間発表がある。 うちのゼミ生は15人なので、正午から始めて終わったのが午後6時過ぎ。 ふう、疲れた。 でも、面白かった。 女子学生たちの選ぶ論題は「身近なもの」が多い。 「の崩れ」「家庭崩壊」「学力低下」「ニート」「おひとりさま」などなど・・・ 中には「映画の構造分析」や「存在するとは別の仕方」というようなちょっと抽象的な主題を扱う学生もいる。 いろいろ。 別に何だっていいんだよ。 メディアで流布している「説明」に対して「ちょっと、それは違うんじゃないのかな・・・」という違和感があるときに、自分を納得させることのできる、身体的な実感のあることばを自力で書いてみること。 それがたいせつだ。 誰かの語る「正しい説明」を丸暗記して、腹話術の人形のように繰り返しても、あまりいいことはない。 「正しい説明を丸暗記して、そのまま繰り返すのは間違っている」のではない(だって「正しい」んだから間

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    tradorok 2007/10/10
    「正しいこと」は答えが一つしかありませんよ、「いいこと」は複数ありますよ、「正しいこと」と「いいことは」違いますよ
  • 地球温暖化で何か問題でも? - 内田樹の研究室

    1年生のゼミで「地球温暖化」が取り上げられた。 地球温暖化を防ぐために、京都議定書の規定を守り、急ブレーキ、急発進を自制し、わりばしをやめてマイ箸を使いましょう・・・というような話を聴いているうちに既視感で目の前がくらくらしてきた。 「地球温暖化の原因は二酸化炭素の排出」と学生さんたちはすらすら言うけれど、温暖化と二酸化炭素のあいだの因果関係はまだ科学的には証明されていない。 というと、みんなびっくりする。 気象というのはきわめて複雑な現象である。 「バタフライ効果」という言葉で知られているように、北京で蝶がはばたきをしたことによる大気圧の変化が、カリフォルニアに暴風をもたらすことがある。 複雑系ではわずかな入力差に対して巨大な出力差が生じる。 この場合に「北京の蝶のはばたき」を暴風の「原因」と名づけることには無理があるだろう。 排ガスと温暖化の関係もそれに似ている。 池田清彦さんによると

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    tradorok 2007/10/10
    ステキなフレーズがあふれていて面白かった。「なにしろ太陽がもうないんだから」とか「夏が寒いんだよ」とか「シロクマさんたちは生活を脅かされて困っているであろう」とか。まあ別に専門家の文章でもないしね。
  • 三連休のはずだが・・・ - 内田樹の研究室

    明けて土曜日は学士会館で取材が二つ。 一つは旧友阿部安治くんの会社、教育開発出版株式会社の仕事で、教育問題について。 阿部くんはアゲイン店主石川 “針切りボーイ” 茂樹くんの青学仏文時代の友人の過激派文学青年で、私も二十歳頃からの長いおつきあいである。 夭逝したのみさぶーが「名前からして『治安』をひっくり返すんだから」と長嘆していたとおり、出版会社に入ってからも組合の委員長をやって経営者たちの心胆を寒からしめていたが、いつのまにかその会社の社長になっていた。 平川くんの跡を継いで、サンケイに「ビジネスアイ」というコラムを書いているので、名前をご存じのかたも多いであろう。 どうして子どもたちはこんなに学力が低下してしまったのでしょう? というインタビュアーの質問から始まって、1時間半ほど「学ばない子どもたち、働かない若者たち」の「モチベーションの崩壊」がどのようなダイナミックな構造をもって

    tradorok
    tradorok 2007/10/08
    社会の底辺にいるものが、「格差社会の構造についてよりよく知っている」などというのは、うさんくさいものだというような話かな。
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