「じゃあ本格って何よ」という議論が手付かずです。 「本格」? 虚辞でしょ。 前の記事を読んだときから思っていたのだが、一連の議論で他の人々が誰も「本格」というタームを重視していないのに、どうしてややこしい問題を持ち込んで議論を混乱させるのか、その意図がわからない。 一部の人は「本格」という言葉そのものに強い思い入れがあって、「何が本格なのか/でないのか」という問題に拘る傾向があることは承知しているが、およそこの問題ほど実りがないものはない*1。あれほど「本格! 本格!」と言い続けた大乱歩ですら、『幻影城』の冒頭で探偵小説の定義を行う際には、「本格探偵小説」という言葉を一度も用いなかった*2ことを思い出す*3べきだ。 そもそもミステリ界において「本格」などという言葉は「本格派vs.社会派」という対立構造がなくなった昭和の終わり頃*4にはほぼ歴史的使命*5を終えている*6。それ以降は、みんな好