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ブックマーク / note.com/shinshinohara (14)

  • 金持ちイジメに見えて金持ちに有利になる世論誘導|shinshinohara

    もう二十年ほど前から「東大に進学するのは裕福な家庭」という報道が繰り返されている。そしてそのことを知っている人は非常に多く、今や常識。そのためか、街角インタビューでも「どうせ東大生は金持ち出身なんでしょ、だったら学費上げても構わないでしょ」という意見が。 これは恐らく「金持ちからはふんだくったらいい、ざまあみろ」という報復感情も多少手伝っているのだろう。 しかし実態は逆になる。金持ちには150万円の学費なんか痛くもかゆくもない。しかし貧困家庭ではとても支払えない金額。単に貧困家庭を大学という学歴から締め出す効果しか起きない。 これと似たことが政治でも。日では「政治家はカネに汚い」というイメージがある。どうせ権力を利用してお金儲けしてるのだし、元々金持ちだろうから、政治家は無給にしてタダ働きさせればいい、という意見がしばしば出る。これを、金持ち政治家に一矢報いるアイディアくらいに思う人が少

    金持ちイジメに見えて金持ちに有利になる世論誘導|shinshinohara
  • その「食品ロス」は本当に食品ロスなのか?|shinshinohara

    品ロス削減に熱心な学生が演壇に上り、「農家の現場ではまだ十分べられる野菜が大量に捨てられているのを見てショックだった、これを売ってべれば品ロスは減らせる。規格に合った野菜だけを売るのはおかしい」と訴えていた。会場にいる人達もウンウンとうなづいていた。 そんな中、私に話が振られた。「実は規格外の野菜を出荷しようとすると品ロスが増える」という話を始めた。 「曲がったキュウリは箱の中にうまく収納できず、輸送中にガサゴソ動く。するとスーパーに届く頃には傷だらけになる。かたや、真っ直ぐなキュウリは隙間なく詰められるから傷つきにくい」 「トマトが数個ずつパックされてるのは、プラスチックとラップなどの資源無駄遣いに見えるかもしれない。けれどああでもしないと、日の柔らかくて傷つきやすいトマトを店にまで届けることができない。」 「傷ついてもいいじゃないか、と思われるかもしれない。けれど傷ついた野

    その「食品ロス」は本当に食品ロスなのか?|shinshinohara
  • 奇妙な経歴|shinshinohara

    2001年入省の官僚の間では、私はちょっとした有名人だった。新人研修のとき、事務次官だろうが誰だろうがズバズバ質問するので、「どうせ篠原が質問するんだから最初からマイク渡しとけ」と言われるほど。当時の新聞で「今年の新人はえらくやる気がある」と評されていたのは、たぶん私のせい。 そんな私を蛇蝎の如く嫌う同期と、面白がる同期とにスパンと分かれた。そりゃまあ、これから出世したいと思う人間は、私と親しいなんて思われたら迷惑だと思ったに違いない。けれど不思議なことに、私に触発されてズバズバ質問するのもいたりして、必ずしも一色ではなかった。 金融庁の課長が私の参加してるグループで懇談。「何兆円ものお金を動かしてる、この国を動かしてるんだという快感」の話、税務署に行ったらいきなり署長で、トップとして君臨する快感とかの話。 で、私に触発された同期が「あなたのポリシーは?」と質問したら、その課長、ドギマギし

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  • イギリスの教育聞き取りメモ|shinshinohara

    イギリスで3人子育てしておられた方のお話、むっちゃ面白かった。日と違いすぎて比較にならない。忘れないうちにメモ。 ・大学進学には3教科勉強してればいい。 ・法学部に進学するのにその子が選んだのは英語、心理学、社会学。 ・高校では基的なものだけでも24教科。さらに細分化。 ・たとえば日だと「美術」とひとくくりだけど、絵画、彫刻などに教科が細分化。それのうちの好きなの取ればよい。 ・学年の考え方が弱い。興味があれば上の学年の教科をとってよい。下の学年の教科から苦手をやり直しても構わない。 ・でも3教科だけ勉強すればいいから、得意なことしかしない。 ・3教科の成績は生涯の証明書になる。たとえばA.A.Bという成績なら、ずっとそれがついて回る。ただしもう一度カリキュラムを受け直して成績を上げることは可能。そのためにトシ取ってからまた学校に通う人多い。 ・大学出てから就職するとは限らない。1年

    イギリスの教育聞き取りメモ|shinshinohara
  • 「いじり」は笑いを提供しているのではない、嗤いで人々を支配したいだけだ|shinshinohara

    ビートたけしに始まり、ダウンタウンが引き継いだ「いじり」という手法は、集団を「嗤(わら)い」で支配できるということを子どもたちに示してしまった面があるように思う。 頭の回転がよく、言葉巧みな強者は、特定の人間を「いじられキャラ」に仕立てることで嗤いを生む。この場合、 いじられキャラと目された人間は、他のポジションを要望する自由を奪われる。もし拒否すれば、「笑いがわかってない」「せっかくお前が主人公になれるようにしてやったのに」と恩着せがましさを見せながら相手を罵り、それでも拒否するなら集団から排除する。「おもんねーヤツ」とレッテルを貼って。 こうした強者は空気を支配するのがうまい。大学のサークルの新歓コンパで、そうした先輩がいた。新人に自己紹介をさせたあと、ビールを何杯も飲ませて酔い潰させていた。さて、私の番。ビールを飲み干し、コップを頭の上で逆さにし、「あー、うまかった」と言ってそのまま

    「いじり」は笑いを提供しているのではない、嗤いで人々を支配したいだけだ|shinshinohara
  • 体験欠乏症|shinshinohara

    お金もらうわけにいかないし、晩飯だけべさせて」という約束で家庭教師をしていたことがある。指導することになったその子の状況について、家族全員に説明していたところ、その子の妹が不思議そうに「なんで文章みたいに話せるの?」と聞いてきた。 その家族の会話は、ほとんど単語で終わっていた。「ねえ、○○は?」「おい、△△しろ」その場の状況から察することができるから、単語で事足りる生活をしていた。状況から察する能力があるのだから、頭は悪くない。ただし、言葉を鍛えられる環境にはなかった。 もちろん家族の誰も、を読む習慣がなかった。「文章」と出会うのは、学校の教科書くらい。そんな生活環境の中で、私のように「文章」のように論理を組み立ててしゃべる人と出会って、その妹は驚いたようだ。 そのような生活環境で言葉を鍛えることができるかというと、難しい。言葉を鍛えなければ、学校の勉強についていくのも難しくなる。何

    体験欠乏症|shinshinohara
  • 目標から逆算し、先回りされると意欲を奪われる|shinshinohara

    私の塾は基、成績のあまりよろしくない生徒が来ていたのだけれど、たまに勘違い(?)した親が、ものすごく成績の良い子を連れてきて「お願いします」と言ってくる場合があった。中学受験に失敗し、高校受験で挽回したい、という熱意を母親が持っていた。面接のとき、母親は子どもに語りかけた。 「あなた、同級生の○○ちゃんが合格して、泣いて悔しがったでしょう?高校受験で挽回する、って誓ったじゃない!?○○ちゃんは今頃頑張っているよ。負けていられないわよ」子どもはうなづきつつも、またその話か、といった、辟易とした顔をした。 不合格だった時は、人も口にしてその通りのことを言ったのだろう。けれど、それを言質に取られて、母親からヤイノヤイノと急き立てられる毎日に、ほとほと疲れ切った様子だった。塾以外の時間も勉強漬けにされ、中学1年なのに眉間に険が走っていた。大の勉強嫌いになってしまっていた。 自分の親とはいえ、他

    目標から逆算し、先回りされると意欲を奪われる|shinshinohara
  • 官邸主導の弊害|shinshinohara|note

    ある人と喋っていて「農林水産省さえ動かせば国が動くと思ったが駄目だった」という話があった。二昔ほど前だったら農林水産省を動かせば国を動かせたかもしれない。しかし今は無理。官僚の練り上げた政策を政治家が取り上げることがほぼなくなってしまったから。 官邸主導ということで政治家が政策を決定するようになっている。このため政治家が気に入らなければ官僚の提案はまるで無視されるようになった。他方、政治家の思いつきのアイデアが政策になり、それがあまりに粗雑で問題含みでも、官僚は怖くて忠告できなくなった(忠告した者は飛ばされた)。 そして、政治家はお気に入りの人間からしか意見を聞かないものだから、現場で起きてることを政治家の耳に届けようとしても馬耳東風。そんなシステムになってしまっている。いまや省庁に陳情に行っても取り上げてもらえるとは考えない方がよい。一応、首相が変わって風向きは変化してるのだけど。 政治

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    triceratoppo
    triceratoppo 2023/01/14
    またこのひとか。
  • 善意の廉売がデフレの道への舗装に?|shinshinohara

    比較的ゆとりある年金生活者の方が「皆さんに喜んでもらうために」と、定年退職後に始めた農業で格安販売。農作物は素晴らしい出来でしかも安いから実際喜ぶ消費者。 しかし、これで苦しむ人達がいる。そう、農作物を売ることで生活している農家。 年金生活者の方は善意なのだと思う。しかし格安で農作物を販売することで、農業だけで生活している農家はたまったものではない。農作物の価格は下に引っ張られ、利益が出なくなってしまう。それだと、農家は生活できなくなってしまう。 阪神淡路大震災のとき、大阪の散髪屋の方が無料散髪のボランティアを被災地で行った。当時は水道も電気も通っておらず、散髪屋はどこもやってないから、被災者の方達に大変喜ばれた。それが嬉しくて、毎週無料散髪を続けた。しかしある日。 地元の散髪屋だという方から、「そろそろ営業再開するんやけど、あんたか無料散髪続けると私ら生活でけへん。善意なのはわかるけど」

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  • 世界一の農業国アメリカの農業はGDPのわずか1%強?|shinshinohara

    「日の農業はGDPの1%しかない」、だから補助金を出すなど保護を行うのはおかしい、という日政治家がいた。なるほど、だとしたら、世界最強の農業国、アメリカだったら、きっと農業はGDPの割合も大きいだろうし、農家は補助金ももらわずに独力でやっているのだろう、と想像したくなる。 で、調べてみると。アメリカの農業はGDPの1.14%。あれ?日とたいして違わんやん。農家がどのくらい補助金をもらっているかというと、所得のうち26.4%。これに対して、日は15.6%。あれ?アメリカの農家の方が政府から補助金もらってるやん。どういうこと? 実は、先進国はどこも似たり寄ったりで、農業はGDPの1%強にしかならない。小麦を海外に輸出しているフランスも、農業はGDPの1.37%を稼ぐだけ。しかもフランスの農家は、所得のうち90.2%を補助金としてもらっている。アメリカもフランスも世界有数の農業国だが、

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  • 大規模農業と小規模農家の繰り返し|shinshinohara

    歴史って面白いなあ。 口分田を与えて小規模農家の権利を明確にし、勤労意欲を高めようとしたら、数十年で制度にほころび。墾田永年私財法がきっかけで荘園という名の大規模農業が発達。戦国時代の終わりまで荘園の名残は続いたけれど。 大規模農業(荘園)の従業員にあたる名子の働きが悪くなっていた。そりゃ、人に使われるだけじゃやる気が出るはずもない。結婚もできない(経済的にムリ)だし。 そんな戦国末期、治水技術や干拓技術が発達してきた。信長や秀吉、家康は当時僻地だった東海地方の平野部で広大な農地の開拓に成功。 働きの悪い従業員(下人)は解雇して、夫婦だけで新田で独立した方がよいと考える小規模農家が増えた。また、解雇された従業員も独立して新田を耕し、自分も小規模農家に。一気に生産力アップ。信長、秀吉、家康といった英雄が東海地方からわいて出る原動力となった。 多くの農家は太閤検地を受けたがった。それまで荘園が

    大規模農業と小規模農家の繰り返し|shinshinohara
  • 「ジョブ制」考|shinshinohara

    知人によると、日の強みは、職場で困ってる人を見かけたとき「どうしたの?手伝おうか?」の言葉がスッと出ることじゃないか、という。外国人はこうはいかず、「それはオレの仕事じゃない」とつれなく通り過ぎてしまう。困ってる人はいつまで経っても困り続けることになる。 ジョブ制は、移民の多い国で考えられた工夫だと思う。民族も文化も全然違う、場合によってはその国に来たばかりで右も左もわからない人間に、「お前の仕事はこれ」と明確に領分を決め、それをやりきれるようなら仕事を続けられ、出来ないようなら解雇、というやり方。 仕事の内容が明確なジョブ制は、逆に言えば融通がきかない。契約前に想定していない仕事が発生すると、「それはオレの仕事じゃない」とみんな拒否する。外国企業で人の上に立つ人間は給料高い代わりに夜中まで働く過重労働なのは、ジョブ制で割り振れないのを全部片さなきゃいけないからかも。 日は「チーム」で

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  • 小学校算数のアヤフヤを消す|shinshinohara

    公立中学で学年最下位水準だった子どもを4人みたけれど。みな、中学の内容を終えることができ、高校の授業にもついていけるようになった。それはなぜかと言うと、小学校の内容からやり直したから。中には分数どころか九九もあやしい子がいたけれど、やり直したら習得できた。 たぶんなんだけど、それを習った当時は、それを受けとめるだけの体験が不足していたのだと思う。九九を習った時には、足し算をさんざんやって、2を二回足したら4、三回足したら6、のような蓄積がないと、九九はなかなか身につかない。 分数を習う時には、ケーキを8人で分けたり、ピザを6人で分けたり、おやつを3人で分けたり、という体験が十分蓄積していないと、何を言ってるのか分からない。分数を習った時に「体験ネットワーク」の準備が整っていなければ、分数の内容を受けとめようがない。 しかし。九九や分数を小学校で習ったときには受けとめようがなかった子も、中学

    小学校算数のアヤフヤを消す|shinshinohara
  • もめ事を収めるコツ|shinshinohara

    震災からしばらくたった2月頭頃、神戸市の職員が避難所に派遣された。ところがどうも初期のころ、ボランティアとぶつかることが多くその日ももめていた。「何をもめているの?」と聞くと、インスタントラーメンを被災者に配りたいのに市役所職員がそれを許さない、と言ってボランティアは怒っていた。 市役所職員によると、被災者全員に公平に配れないのであれば、配ってはいけない、という。味噌ラーメンと塩ラーメンを合計したら被災者全員に配れるのだが、「それだと塩ラーメンが欲しい人に味噌ラーメンが配られたりなど、もめる原因になる、だから配ってはいけない」と頑張っていた。 私は「ちょっと任せてほしい」といって、その市役所職員と話すことに。「救援物資の管理、お疲れ様です。ところで問題のインスタントラーメン、どこから来たかご存じですか?」と尋ねた。「神戸市からですよ」との答えに私は首を振り、「いいえ、違います。私たちボラン

    もめ事を収めるコツ|shinshinohara
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