最近、企業人が首長になる例が増えてきた。彼らはおしなべて改革に熱心だ。最初の関心は役所の行政改革、特に効率化に集中する。それが片付くと関心は地域の将来ビジョンに移る。財政再建は節約だけでは不可能だ。税収を増やしたい。住民も役所改革より地域再生を望む。だが「地域戦略」はなかなか描けない。行政の役割には限界があり民間にも余力は乏しい。その中でいかに説得力のある絵を描くか?首長の悩みは深い。上下2回で解説する。 まずは厳しい現実を直視 従来から多くの自治体が「将来ビジョン」を作ってきた。だが、多くは“日本のシリコンバレーを目指す”、“笑顔あふれるふれあいの町”といった抽象的願望を羅列したあとで既存の「マスタープラン」「都市計画」「総合計画」に書いたありきたりの施策を並べて終わる。第3者には「大本営発表」でしかなく、おまけにどこも似たり寄ったりの内容で信憑性を欠く。 「地域戦略」では本来、その地域