1966年(昭和41)にビートルズが来日したとき、日本でビートルズの楽曲に原題からかけ離れた邦題が付けられていることを知ったビートルズサイドから、これからは勝手な邦題をつけるな、というキツいお達しがあったらしい。 日本でレコードを売らねばならないレコード会社の立場からすれば、洋楽作品にキャッチ―な邦題をつけることが出来るかどうかは売れ行きの行方を左右する決定的な要素だった。「売れる邦題」を付けることもディレクターの重要な仕事の一つで、これは海外の映画でも小説でも同じことだった。 英語の原題を音訳しただけのカタカナのタイトルを聞いてその意味をただちに理解できるほど、かつての(今もそう変わらないかも)平均的な日本人は英語力が高くなかったし、特に当時の洋楽の主たる聴き手は中学生高校生だったのだから、長たらしい英語音訳のカタカナタイトルは禁物だった。 ビートルズの曲の邦題を付けていたのは東芝音楽工