正社員の不足を訴える企業の割合が過去最高水準に迫っている。特に深刻なのがITエンジニアが不足する情報サービス業だ。人手不足ならば賃金が上昇しそうだが、ITエンジニアの平均年収は米国の2分の1以下にとどまり、今や中国よりも少なくなった。日本の賃金が上がらない理由はどこにあるのか。「多重下請け構造」「多様な働き方」「生産性」という三つのキーワードで取材した。 帝国データバンクが4月時点で行ったアンケート調査によると、「正社員が不足している」と回答した企業の割合は全業種平均で51%に上り、2018年11月に記録した過去最高(53・9%)に迫っている。