鼻水、くしゃみ、目のかゆみ――。命にかかわることはないとはいえ、花粉症のさまざまな症状は憂うつでうっとうしいもの。そんな花粉症の症状が、「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」という微生物に感染していると、抑えられる可能性があるとの研究結果が報告され、注目を集めている。 これは、2005年10月に兵庫県神戸市で開催された第13回日本消化器関連学会週間という大規模な消化器系の学会で、市立奈良病院消化器科の今村重義氏らの研究グループが発表したもの。ピロリ菌といえば、胃潰瘍(かいよう)を起こす原因として、広く知られている微生物だ。そんな感染症の原因微生物でアレルギーを抑えられるのでは、という内容に高い関心が寄せられた。 ピロリ菌は、独特の酵素を持っていて、胃酸を中和しながら胃の粘膜などにすみつく。発症までのメカニズムにはまだ不明な点が多いが、ピロリ菌が慢性胃炎や胃潰瘍などの主要な原因になること