報告書が取り上げた近代化遺産の一つ、旧奈良市水道計量器室。1922年に建てられたれんが造りの建物=2014年7月3日、奈良市東之阪町 奈良県教育委員会は、本県の近代化を伝える建築物や構造物の残存状況や保存状態を調査し、「奈良県の近代化遺産」(A4判、182ページ)として、このほど刊行した。県全域で800件が報告されており、県民はわが町の身近な近代化遺産を知ることができそうだ。 県全域の近代化遺産に関する調査報告書は初めて。形態や意匠が優れたもの、歴史的に重要なものについて、保護措置を図っていくための基礎資料作成を目的とした。文化庁が進める近代化遺産総合調査に関する国庫補助事業として、2011~13年度の3年間で実施した。調査は、学識経験者から成る調査委員会(委員長、林良彦・奈良文化財研究所文化遺産部長、6人)と県内各市町村の調査員に委託した。 対象は、幕末から第2次世界大戦の終わりにかけ建