明治期に人権活動家として活躍した高知県宿毛市出身の大江卓(1847~1921年)が、横浜市で1872年に起きたペルー船籍のマリア・ルス号事件を解決したお礼に華僑の互助組織から贈られた旗が、24日から宿毛歴史館(宿毛市中央2丁目)で初めて公開されている。大江はこの事件の裁判で清国人の奴隷解放を実現。後に「近代ヒューマニズムの先駆者」と評される原点となった、価値ある歴史的資料だ。 大江が神奈川県の官吏を務めていた1872年、横浜港に入港したマリア・ルス号の船内で奴隷の扱いを受けていた清国人が、助けを求めて脱出した。日本にとって初めての国際裁判で、大江は特設裁判所の裁判長として、清国人への虐待行為を認定し、清国人229人の解放を条件に出港許可を出した。 植民地などで劣悪な労働環境を強いていた欧州列強から強い干渉がありながらも、大江は屈することなく、人道上の重大問題だとして裁判を続けた。 大旆(た