最近の映画館は、アミューズメント施設化が進んでいるようである。座席が揺れたり風が吹いたりする最新設備の映画館も魅力的だが、一世紀前からほぼそのまま残りいまも現役で上映する映画館があることをご存じだろうか。多くの人々が過ごした歴史ある空間で見る映画は、ここでしかできない体験となるかもしれない。 新潟県上越市にある「高田世界館」は、1911年(明治44年)建築。当時、軍隊が近隣に誘致され、約2,000人の人が移り住んできた。急激に増えた人口に対応しようと、問屋街だったまちは急ピッチで商業開発が進む。牛鍋屋や旅館など、相次いで新しい店が増えた。そんな中、娯楽の需要に応える施設として芝居小屋「高田座」ができた。(現、高田世界館)当時の新聞には『ルネッサンス式白亜の大劇場』と記されたそうだ。芝居小屋として営業をしたのは5年だけで、すぐに映画館に業態を変更。「世界館」と名称も変更するのだが、いまも建物