故郷、名古屋を離れて38年。帰省する機会も減ったが、テレビの旅番組で名古屋の映像を見ると、懐かしくなる。 名古屋と聞いて、いの一番に思い出すのは、名古屋城と熱田神宮だ。尾張からは織田信長、豊臣秀吉を輩出し、徳川家康が戦国時代に終止符を打った後は、家康によって名古屋城が築かれ、計画的なまちづくりが進められた。今も、かつての城下町に官庁やオフィスビルが林立する。 熱田神宮は、三種の神器のひとつ、草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)を祀る古代からの社だ。ちなみに筆者の名前は、「熱田(あった)さんに相談して決めた」と両親は言い、神宮の参道は子ども達の通学路でもあった。 故郷を代表する2つの名所に次ぐ第3の存在に気づいたのは、意外にも旅先の台湾だった。台湾の南部、「高雄市立歴史博物館」を訪れた時、胸の奥からフツフツと、ある故郷の風景が湧き上がった。名古屋市役所の本庁舎とどこか似た建築だったからだ。 高雄市