日経ビジネスは3月5日号に、特集記事「3・11 7年が生んだ未来」を掲載した。あの日から7年が経ち、3・11という言葉の持つ重みは残念ながら確実に薄れてきている。風化という単純な問題ではない。毎年この日を迎える時には、故人に想いを馳せる人は多いだろう。しかし、莫大な公金の投入や、国や東京電力ホールディングスの杜撰な振る舞いは、東北に多くの複雑な問題を生んだ。その問題を正しく理解することは放棄されているように記者には思えるのだ。こうした現場と読者の乖離を埋めるのが、日経というメディアが果たすべき役割だと考える。 記者は2011年、東日本大震災、福島第1原子力発電所事故の発災直後、日本経済新聞の記者として宮城県沿岸部での取材に携わった。高々1週間の滞在に過ぎなかったが、当時経験したことは、自身が記者として働く意義を考える時、これからも常に思い出すことになると思う。 現場入りした初日、ただただ空