新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本政府の政策には「遅い」「説明不足」「不十分」「効果が分からない」等々、様々な不満が示されている。その中でも「科学的根拠に乏しい。根拠が分からない」という不満は多くの人が感じていることでははないだろうか。 これは、新型コロナウイルスの独特な性質など様々な理由が重なって起こっているものではあろう。しかし本稿では、日本における「政治」と「科学」の関係が他の国に比べて歪である、という要因に注目し、そのことについて述べたい。 日本は政治と科学の関係が未熟 現代社会は先端的な科学知識やそこから生み出される技術と、一般の人々の生活を切り離すことが難しくなっている。当然のことながら、政策決定にも高度な科学知識が要求される。 一方、「民主制」とは、「ごく普通の人々」が政治を行うことを含意するものであり、国会議員一般が全て高度な科学知識を持っているわけで