小さな携帯電話に映し出されるテレビ映像は新たな日伯協力の証しだった。ブラジル・サンパウロの空港で会社員、アンナ・カロリーナさん(29)はサッカーのブラジル選手権をワンセグ機能で観戦していた。 「これが日本の技術とは知らなかったわ。どこでも見られるのはうれしい。応援するチームの試合をやっていないのは残念だけど」 わが国で7月24日に完全移行する地上デジタル放送には日米欧の主要3方式があり、日本方式のみが携帯電話など「移動体」でテレビが見られる技術を確立した。ブラジルは2006年に日本以外で初めて日本方式を採用した。07年に放送が始まり完全移行は16年。 ブラジル電気通信庁のホベルト・マルチンス公衆サービス監督局長(55)は「携帯電話でテレビが見られるのは日本方式だけ。全国民が恩恵を受ける世界一のシステムだ」と話す。 両国は日本方式を「日伯方式」として売り込み、南米を中心に12カ国へ広がってい