格差の拡大が深刻な米国だが、その背景には教育の問題もある。裕福な家庭の子息は教育プログラムが充実した学校に通い様々な経験を得る。一方で貧困地区の公立学校は予算不足で教師の数さえ満足でなく、生徒はテスト対策に追われている。その中で努力して成功をつかむ子供はもちろんいるが、幼少期における教育の機会の不平等はその後の人生に大きな影響を与える。 米国は1990年代以降、公教育に競争原理を導入する改革を進めてきた。予算が限られる中で最大限の成果を出すという目的は理解できるが、教育の成果をどこに求めるかは人によって異なる。テストの平均点を上げるのはもちろん重要だが、それだけで子供の可能性が開けるとは限らない。教育改革の中で劣後し、テストを捨てたニューヨーク・ハーレム地区の小学校の軌跡を追う。(敬称略 ニューヨーク支局 篠原匡、長野光)
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