メイ英首相の政治的な終焉(しゅうえん)を目の当たりにした欧州連合(EU)の指導者らは、これは避けられないことだったとの感覚を抱いたかもしれない。その感覚は恐怖に取って代わられつつある。 メイ首相退陣は英国のEU離脱問題の行き詰まりを打開するのではなく、EUが長らく悪夢だと考えてきたシナリオが現実になるリスクを高めた。つまり、ジョンソン前外相率いる新政権の誕生だ。前外相は2016年の国民投票で偽りの公約を掲げてEU離脱を訴え、選挙戦を混乱させてキャメロン前首相を辞任に追い込んだ張本人というイメージがEU内では強い。 メイ首相は予測可能で、欠点はあったにしても明確な戦略があったとEU首脳の多くは考えている。ところがジョンソン外相については、EUを破壊したい単なるうそつきのポピュリストという認識だ。
