●『花筐 HANAGATAMI』(大林宣彦)をU-NEXTで観た。すごかった。とりあえず、初見の感想としてはすごいとしか言えない。今まで観たどの大林宣彦よりも濃厚に大林宣彦であり、今までのさまざまな作品が想起され、しかし同時に、今までにない新しい大林宣彦でもあった。 ここには、大林宣彦という「呪い」があり、大林宣彦という「修羅」があり、大林宣彦という「煩悩」があり、それらが非常な強さと深さとで渦巻いているように感じる。八十歳をすぎ、病気を患ってもいる映画監督が、自らの死を意識していないはずはない。そのような人のつくる映画のなかでは、結核を患って死につつある美少女とか、健康を持て余すことで頽廃に向かう美少年といった紋切り型の登場人物たちも、彼らの間で結ばれる「日本近代文学」のカリカチュアであるかのような関係性も、紋切り型とはまったく異なる様相を帯びる。 作家とは一つの固有の茨の道であり、固有