2013年1月28日 金融市場局 中山興、藤井崇史 全文 [PDF 648KB] 要旨 近年の情報通信技術の進歩を背景に、金融商品の電子取引が目覚ましい拡がりをみせている。株式の分野では、わが国でも2010年初に東京証券取引所のアローヘッドが稼働を開始し、高速・高頻度取引(HFT)が本格化した。本稿では、アローヘッド稼働前後の日次データを用い、株式市場へのHFTの影響を定量的に検証した。TOPIX日次データを用いた推計を行った結果、HFTは市場流動性の向上とボラティリティの低下に寄与していることが示唆された。ただし、HFT拡大に伴うプログラムの暴走リスクや人的ミス発生を狙うプログラムの存在などへの対応が、課題として残されている。これらの課題は、経済合理性の観点のみならず、社会厚生的な価値判断を伴う面もあり、望ましい解決の方向は必ずしも自明ではない。今後、バランスのとれた市場形成に留意しつつ