1956年に「既存の権威にとらわれず、新人を発掘して自由に賞を与えたい」という思いから始まった、出光昭和シェル主催の公募展「シェル美術賞」。40歳以下の若手作家を対象としたこの美術賞は63年目を迎え、これまでに赤瀬川原平、高松次郎、菅木志雄などの芸術家を輩出している。 2019年のグランプリを受賞したのは、2019年春に東京藝術大学大学院・絵画専攻(油画)を修了した気鋭のアーティスト、黒坂祐さん。作家が入居するシェアスタジオ、さらにギャラリーとサロンの機能をあわせもつ「四谷未確認スタジオ」を運営し、作家活動と両立している。作家活動を多面的な視点からとらえる一方で、「応募したのは絵画を制作活動の『軸』に据えるため」と語る黒坂さんに、その経緯や制作スタイルについてうかがった。 作家活動を続けるために、制作の軸を決めた ── 黒坂さんは、作家活動と並行して学生時代から「四谷未確認スタジオ」を運営