生産と組織のフレキシブル化、金融化の進行、労働として動員される「生」 1960-70年代以降の激動がもたらしたポスト・フォーディズムは、非物質的なものをめぐって旋回する――Y・ムーリエ=ブータン、A・フマガッリ、C・ヴェルチェッローネ、C・マラッツィ、M・ラッツァラートらが論じる現代のグローバルな趨勢「認知資本主義」を、様々な事例を取り上げ、政治経済学的な視角から分析。 資本主義は葛藤や批判を糧にして変貌する。認知資本主義は、一九六〇~七〇年代の社会変動、抵抗、多形的な欲望、新たな主体性に資本主義が適応することから形成された。それが生産と組織のフレキシブル化、労働の人間化、個性的なライフスタイルの消費、等々である。進取の経営者はしだいに問題の性質を理解し、懐柔に転じる。カウンターカルチャーを通過した新世代の企業家たちもやがて頭角を現すことになる。しかしその適応は、ただの譲歩ではなかった。雇
2017.08.26 12:00 男が男を変えるべき。「社会が悪い」に逃げない「わたくしごと」の男性学を/『介護する息子たち』著者・平山亮さんインタビュー【2】 今年2月に刊行された『介護する息子たち 男性性の死角とケアのジェンダー分析』(勁草書房)で、介護=ケアと、庇護される立場の男性性=息子性を分析する、新しいジェンダー論を執筆された社会学者の平山亮さん。前編では、近年注目されている男性学および「男性の生きづらさ」論の問題点についてお話を伺いました。後編では、この問題についてさらに踏み込みながら、男性が気づくべき社会における優位性と、男性問題を「わたくしごと」として引き受けることの重要性についてお話いただきました。 ・「俺だってつらいんだ」に終始する男性の生きづらさ論/『介護する息子たち』著者・平山亮さんインタビュー【1】 外の目が入りづらい家事育児は女性が不利になる――SNSへの育児
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彼は、旅人です。 動物のこと、植物のこと、気象のこと、ものを作る技術、作物を育てる方法、いろいろな国の言葉。 世界中を旅する中で、彼は、じつにたくさんのことを学びました。 そして、笑顔をたたえた彼は、請われるままに、だれにでも、学んだことを親切に教えました。 彼は、請われるままに、自分の目で見た世界中のことを、くわしく話して聞かせるのでした。 どの村でも、暮らしの役に立つことを教えてもらいたいと、彼のもとに人々が集まりました。 どの町でも、わくわくする話を聞きたいと、彼のもとに人々が集まるのでした。 そんな彼が語る話の中で、子どもも大人も、男も女も、裕福な人も貧しい人も、そしてどの国の人も、「なるほど」「やってみよう」と思う話がありました。 それは、『あなたの一日が世界を変える』ということ。 これは、彼が、一人の日本人から教えてもらった話です。 そして、彼が、できるだけたくさんの人に伝えた
「R帝国」という小説を書いた。資本主義で、民主主義であるのに、独裁政権になってしまった国の物語。今の日本と世界を意識している。 ヒトラーの「人々は、小さな嘘(うそ)より大きな嘘に騙(だま)されやすい」という言葉の引用を最初に置き、小説は「朝、目が覚めると戦争が始まっていた。」という一行から始まる。もし今の日本がこのまま進めばこうなってしまう、ということを意識した。戦争、テロ、差別、フェイク・ニュースなどの現在の問題を踏まえ、なぜこうなってしまったのかも、物語に乗せて分析することになった。 国による「一体感」は気持ちがいいかもしれない。強い政府の側に自分を投影し、自分まで強くなった錯覚を感じるのも気持ちいいかもしれない。でもそれは社会的動物である人間が陥る一つのわなだ。この「一体感」に溺れると、集団から外れた者を攻撃する「気持ちよさ」や、他国を攻撃する「熱狂」にも陥りやすい。第二次大戦の日本
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