今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ [3月12日号掲載] 数週間前、吉祥寺のスタンドバーでくつろいでいたとき、通りで身を寄せ合う2人の若い女性に気付いた。彼女たちは携帯電話の画面を見て、話し合い、路地を眺め、また携帯の画面に戻り、最後にうなずき合って、ようやく小さな飲み屋の並ぶハーモニカ横丁に入ってきた。 思わずこう叫びたくなった。「早くしろ! 何を怖がっているんだ?」 東京では、まず携帯電話で情報をチェックしてからでないと、どこにも行けない人がたくさんいる。 東京人は冒険心を失ったのだろうか。人々は街中の通りで立ち止まり、行く先を決める前に携帯電話で調べる。私の学生もインターネットで確認するまで喫茶店にすら入らない。 そうすることで選択肢が多過ぎる東京の生活が楽になるのだろう。ネットに載っている店の写真と紹介文を見て、安心するのだと思う。でもラーメンを食べる前に小さな画像で確認してお