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ブックマーク / wedge.ismedia.jp (26)

  • 「大漁」崇める文化 乱獲と暴落の「赤信号」を止められない制度

    では「大漁」という言葉は、とても聞こえのよい言葉だと思います。漁業者は、「大漁祈願」をするでしょうし、市長村によっては、一定の水揚げ以上となると「大漁旗」を掲げるところもあるでしょう。マスコミでも「大漁」は祝賀ニュースとして扱うのが普通です。しかしながら、実は「大漁」に象徴される日の「漁」に関する考え方に、衰退していく水産業の問題が潜んでいるのです。 「資源管理」が水産業に与える影響 水産業で成長している国々の科学者や関係者が読んだら「信じられない(unbelievable)!」と思われる新聞記事をよく見かけます。内容が間違っているわけではありませんが、水産資源の持続性(sustainability)に関する常識がないというか、考え方が異なってしまっているのです。欧米市場では、日と異なり持続性が無いとみなされた水産物は、売れ行きに極度に差が出るケースがあります。 たとえば、白身魚の

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  • 3度あった停電の危機

    関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働をめぐり、野田政権が迷走を続けている。前提として、電力は足りているのか、いないのか。東京電力への批判とは切り離して、日の直面するリスクを冷静に把握しておきたい。 原子力発電所の再稼働をめぐって、「実際には、電力供給面でのリスクなど存在しない」、「リスクを煽るのは原発を再稼働させたいがための陰謀だ」、「そもそも東京電力による昨年の計画停電自体が、同様の陰謀だった」、などの意見がある。これらの見解は間違っており、電力供給リスクは実在する。 東京電力・福島第一原発事故以降、多くの国民は節電に積極的に取り組んでおり、大きな成果をあげている。節電自体は大切であり、さらに取り組みを強める必要がある。しかし、家庭で3割節電できたとしても、原発をなくせるとは限らない。なぜなら、わが国の電力市場で家庭用需要は約3分の1を占めるに過ぎず、残り3分の2を占める産業用需

    3度あった停電の危機
  • イギリスに学ぶ 新興国台頭に慌てぬ法

    英国バーミンガム大学大学院国際関係学修士号取得。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。著者に『自主独立とは何か』(新潮選書)、『迷走するイギリス』(慶應義塾大学出版会)など。 歴史を振り返ると、これまで何度となく新しい大国、すなわち「新興国」が登場し、そのことが既存の国際秩序を動揺させ、それまでの大国を不安にさせることがあった。新しい巨大な大国が隣国として浮上してきた際に、われわれはそれをどのように受け止めるべきなのか。はたしてその新興国は既存の秩序を破壊し、混乱させ、戦争の悲劇に導くのであろうか。それともそれが新たな活力の源泉となり、新しい機会と富をもたらし、そして世界全体を良い方向へと導いていくのだろうか。 老大国イギリスは、これまで何度となくそのような歴史を経験してきた。むしろイギリス自らが16世紀から17世紀にかけて「新興国」として浮上してきた歴史を有する。このときの

    イギリスに学ぶ 新興国台頭に慌てぬ法
  • やがてloopy 総理懐かしむ日が?

    ホラー映画にハッピーエンディングはない。あったらそもそもホラー映画ではない。 そんなことを言うのは、鳩山首相を見る目がワシントンでも東京と同様に、このところますます「自作自演ホラー映画の主演俳優」だと、だからその終わり方も、鳩山氏の政治的死で閉幕するんだろうと、そんなふうなものになっているからだ。 ただし、ハトヤマ映画の筋書きにはちょっとした変更があり得る。皮肉とも、不幸中の幸いとも言えるものだが、米国側の政策要求に関する限り、もしかしたらハッピーエンディングになるかもしれないという可能性だ。その場合でも鳩山氏自身何らかの「犠牲」を支払うことが求められるだろう。 現行案復帰の噂が聞こえてきた途端… とこんなふうにキーボードへ打ち込み始めたところ、ひとつ噂に接した。 沖縄・普天間基地をめぐる進退窮まった状況は、民主党政府全体の政策的・実践的弱体ぶりを象徴するものだったけれど、結局この問題に関

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  • 育ちはじめた農業経営のプロ

    今年2月、筆者が発行する月刊誌『農業経営者』の読者とともにロシア沿海州を訪ねた。新潟から空路1時間半のウラジオストックから車で3時間。そこには広大な水田地帯が広がっている。緯度は稚内と同じ北緯45度だが、夏の気温と日照に恵まれたコメ栽培の適地である。中国の黒竜江省と国境で隔てられたハンカ湖周辺である。 我々はそこで、日人の農業経営者たちが、日の良味品種を、田植えがいらない乾田直播という低コスト技術でコメ作りに取り組むことを目指している。Made by Japaneseで、市場はアジアである。 ロシア人の女性と結婚し、沿海州に約8000ヘクタールの農地を持ち、そこで大豆やコーンの生産をするニュージーランド人経営の農場を日商社の紹介で知った。その農場では約400ヘクタールの水田も所有しており、そこで経営実験に取り組むべく話を進めていたのだ。 ところが、同農場が韓国のヒュンダイ財閥に買収

    育ちはじめた農業経営のプロ
  • あえて言おう 年金制度はいらない   原田 泰 (早稲田大学政治経済学部教授・東京財団上席研究員) WEDGE Infinity(ウェッジ)

    最近になってやっと信じてくれる人が増えてきたが、日のサラリーマンがもらう厚生年金は、夫婦で月23.6万円であり、世界一高い水準にある。 アメリカの年金は、1349㌦(12.1万円)、イギリスにいたっては524㍀(6.8万円)でしかない。もちろん、これには、現在の円高を反映して外国の年金が異常に低くなっているのだという批判があるだろう。しかし、1㌦=120円で換算しても、アメリカの年金は16.2万円である。日の年金は世界一高い。 しかし、多くの人々は、これでも足りないという。私は、大企業の幹部の方々に、日の年金が世界一高いという話をしたときに、それでも足りないと言われたことがある。大企業のサラリーマンが、現役時代と同じ生活をしようとしたら、もちろん現行の年金では足りない。しかし、年金とは、来、社会保障制度であって、国家が、高齢者が誰でも、健康で文化的な最低限度の生活を送れるようにして

    あえて言おう 年金制度はいらない   原田 泰 (早稲田大学政治経済学部教授・東京財団上席研究員) WEDGE Infinity(ウェッジ)