ある人が別の人を説得するために用いる語りの方法は色々あるが、論じたい事項を何か別のものになぞらえることで、相手の理解を深めたり、相手の気づいていないことを気づかせたりしながら議論を進める、たとえ話の技法は昔からのものらしい。かの『三国志』(『三国志演義』ではなく、同時代の陳寿による史書)にも、呉の幕僚の諸葛謹――諸君の中にも、弟の諸葛亮の方はご存じという向きもおられよう――は、その篤実な人格によってだけでなく、たとえ話を有効に活用することで君主の信任を得たというエピソードがわざわざ記されている(注1)。また明治時代の日本では、同じ時期に成立した新しい国民国家としてイタリアに注目しようという動きがあり、マッツィーニ、カヴール、ガリバルディといったリソルジメントの指導者たちが、自国の木戸孝允、大久保利通、西郷隆盛という「維新三傑」になぞらえられて紹介されたという(注2)。 生来粗暴で、こちらが
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